土曜コラム「今週のニュース」第8回:GoToキャンペーンについて(記事から)

 今週も多くのニュースにコメントを付けた。特に今週はGoToキャンペーンが賛否両論と右往左往のなかで揺れている。そこで、今日と明日でこの話題を取りあげたいと思う。改めて紹介するニュースは次のとおりである。 

 Go To「今でないと間に合わない」 京都の旅館社長、「炎上覚悟」のツイートに込めた危機感

 このニュースについて、私は次のようにコメントした。

 観光は幅広い産業に効果が及ぶ。そのため、観光の命運は地域経済全体を左右する。

 観光は、幅広い産業に効果が及ぶと言われる。宿泊や運輸(鉄道・航空・バス・タクシーなど)だけでなく、お土産品(工芸品・お菓子など)、食事(海産物・肉・米など)と、実に広い。また、地域の特徴を活かしたものが地域で供給されるものだから、地域経済全体に大きな効果が出ると期待されている。しかも、地方圏では工場が海外に流出したり公共事業が削減されるなど、厳しい状況に置かれていた。そのため、観光は特に地方で地域経済の浮揚を託す新たなチャンスなのである。

 しかし、新型コロナの影響で外出自粛が続いたため、観光客がほとんど来なくなった。地方圏の企業は規模も小さく体力も強くないため、多くが限界を迎えつつある。外出が抑制されれば、確実に倒れてしまう。まさに「今でないと間に合わない」のである。だから、GoToキャンペーンで観光客が戻ってくるのであれば、迷うことなく受け入れるしかない。

 もちろん、それは大きなリスクがある。しかし、十分な対応をしたうえでGoToキャンペーンを展開し、それで確実に倒れることだけでも防げるとすれば、これ以上外出抑制を続ける選択はないだろう。

 それで感染者が出る可能性が絶対ないとは言い切れない。もし感染者が出れば、しばらく休業しなければならないだろうし、お客さんも離れてしまうだろう。むしろ、GoToキャンペーンを受け入れて感染者が出た時のほうがダメージは大きくなるかもしれない。GoToキャンペーンを受け入れることの方が怖いともいえる。

 しかし、体力が低下しているなかで、いつまでも止まっているわけにはいかない。ガイドラインに沿って対策をうてば感染者を最小限に抑えられるかもしれないのに、それさえ許されず倒れるしかない、という選択はできないのではないか。

 「では感染者が出ても良いのか、出たら責任をとるのか」という意見もあるだろう。しかし、それならばGoToキャンペーンをやめて観光業が崩壊しても良いのか、という意見もある。どちらの対応でも、プラスとマイナスがある。それらを冷静に見極めたうえで、判断する必要がある。

 もちろん、最終的には政府の決断と個々の国民の判断である。また、状況も刻一刻と変わるから、どちらも揺れていくだろう。しかし、「危ないからやめるべき」だけで済む問題ではない、ということは変わらないのではないか。

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