日曜コラム「マイ・オピニオン」第11回:市町村単位の地方創生は有益か?

 地方創生の取り組みが始まって、6年目を迎えている。しかし、成果は思うように上がっていない。人口減少を食い止めるための出生率の向上も、東京一極集中を食い止めるための流出入ゼロも、むしろ当初より悪化しているとも言える。本コラムだけですべてと扱えるような問題ではないのだが、ここでは市町村単位の地方創生が有益ではないのではないか、という点を述べてみたい。

 まず、人口減少を食い止めるための出生率の向について、は市町村でできる範囲はかなり限られている。具体的には、子どもが生まれてから必要になる保育園の整備や保育サービスの拡充、子ども向け医療費の負担軽減などができるだろうか。あるいは、子どもが生まれる前に出会いの場を創出することも可能であろう。このように、市町村が何もできないわけではなく、重要な役割を果たしている。しかし、少子化の大きな要因は晩婚化にある。そして、晩婚化の大きな要因は出会いの場が少ないことに加えて、経済的な問題がある。つまり、若年層の所得水準が低いため、結婚して子どもを産み育てることを躊躇してしまうのである。これは、市町村がカバーできる政策課題ではない。まずは企業の給与制度の問題であり、国も企業に要請することができるくらいであろう。したがって、人口減少を食い止めるための出生率の向上は市町村でできる範囲はかなり限られている。

 次に、東京一極集中を食い止めるための流出入ゼロも、市町村でできる範囲はかなり限られている。個々の市町村が東京からの人材流入を図ろうとしても、相手は東京都の個々の市区町村ではない(たとえそうであったとしても、分は良くない)。相手は、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の連合体である。これらの都県は個性や生活環境、産業構造が異なっていて、連合することで高い総合力を持っている(地方圏の個々の市町村が「東京一極集中」という言葉を使って無意識に都県を連合させている面もある)。地方圏で個々の市町村が人材流入を図ろうとすれば、都県の総合力にはないニッチな部分で勝負するしかないのではないか。結局、それは勝負になっていない(地方圏への流入に結びつくケースもあるが、流出が上回る状況には変わらない)と想像する。そこで、地方圏の個々の市町村は、県内の近隣からの人材流入を図ろうとする。その方がまだ勝機があるし、相手も明確である。しかし、それは地方圏内での人材の奪い合いでしかなく、地方創生の本筋ではないだろう。

 個人的には、市町村単位の地方創生は意思決定や政策を推進していく主体として必要であるとしても、そのプロセスには広域的な市町村間の連携がもっとあっても良いと感じている。それがなければ、市町村単位の地方創生は有益どころか、奪い合いによる消耗を招き有害になる場合もあることに注意しなければならない。

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