日曜コラム「マイ・オピニオン」第16回:「東京一極集中」で見逃せないこと

 地方創生や地方の人口減少に関する情報を集めていると、「東京一極集中の是正」という言葉が頻繁に出てきます。確かに、地方圏の将来を考えるにあたって、私も東京一極集中を是正することはきわめて重要だと思っています、しかし、この言葉には注意すべき点がいくつかあると思いますので、今日は2つ述べたいと思います。

 第1に、東京への人口流入は1960年代の高度経済成長期に比べると、3分の1程度に縮小しているということです。日本創成会議「ストップ少子化・地方元気戦略」の資料によると1960年代の東京圏への人口流入のピークは約38万人に達しています。これは現在の約13万人と比較すれば、3分の一程度です。つまり、東京への人口流入はかなり縮小しているという見方ができます。

 第2に、いわゆる三大都市圏のうち、東京以外の関西と名古屋は人口流入がほとんどなくなったことです。やはり、高度経済成長期のピークでは、関西圏への流入は約21万人、名古屋間には約6万人の流入がありました。特に当時の関西圏への人口流入は、現在の東京圏への人口流入よりもかなり大きかったことになります。それが今は、ほぼプラスマイナスゼロの状態になりました。

 これらのことから、「東京一極集中の抑制」と言われますが、確かに三大都市圏のなかで東京のみが集中を続けていることから一極集中であることは間違いないとしても、その規模は大幅に縮小していることになるのです。そして、これを地方の側から見てみましょう。かつての三大都市圏への流入のピークの裏側には、地方圏からの流出のピークがあります。単純に計算すれば流出の規模は60万人を超えています。それが今や13万人なので、ほぼ5分の1に縮小したとも言えるわけです。したがって、現在の東京一極集中とは、高度経済成長期における三大都市圏への集中から、規模を大幅に縮小した東京のみへの集中ということになります。長い目で見れば、地方からの人口流出の現状は以前よりも大幅に改善したと見ることもできます。

 しかしながら、日本の人口は2008年にピークに達してから減少期に入りました。出生数の減少が大きな要因です。かつては地方から三大都市圏に人口が大幅に流出しても、出生数も多かったので影響も今ほど大きくなかったように思います。しかし、出生数の減少に加えで高齢者数が増加し、地方の人口減少が加速しています。

 したがって、地方県の人口減少を食い止めるための方策はもちろん必要ですが、こうした長期的な動向と背景として考えられる社会経済情勢の変化を踏まえて、今後進めることができる対策を練る必要があると思います。

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