金曜コラム「文章、プレゼンの基礎」第12回:スライドに頼りすぎない

 今回は、スライドに頼りすぎても良くない、という話をしたいと思います。

 これまで「プレゼンテーションの準備が大変重要である」ということを述べてきました。そのなかには、スライドをしっかり作り込んでおくことも当然含まれています。必要な情報を漏れなくスライドに盛り込んでおくことが必要です。

 しかし、プレゼンテーションはスライドと口頭による説明の組み合わせで伝わるものです。加えて、 身振り手振りや目線、話の抑揚、間の取り方などでも伝わり方が大きく変わってきます。これらの要素も、意外に大きく影響してくるのです。

 最近終わった大ヒットドラマ「半沢直樹」でも名優さんたちのオーバーとも言える顔芸や名言が注目されましたが、これを台本や小説として読んでも、あの迫力は再現できないのではないかと思います。ストーリー、キャラクターがあり、それに合わせた表情や話し方が組み合わせって 大きな感動をもたらすのだと思いました 。

 私も、日頃の授業でこうした間の取り方やリズムなどに気をつけなければならないと思って いるのですが、まだまだです。話す内容に集中してしまうのと、緊張感もあって どうしても 早口になってしまうことが多くあります。

 特に 問題だと思っているのは、スライドに頼りすぎてしまうことです。スライドに多くの内容を盛り込んでおけば、プレゼンテーションの本番で言うべきことが 書いてありますので安心ですし、時間が余って話す内容はなくなってしまうという失態を防ぐこともできます。また、仮に時間が足りなくなっても話すスピードを速くしたり大切なところだけに絞れば時間を短くして「ほかのところは後で読んでおいてください」としても可能です。そこで、どうしてもスライドに頼って多くの内容を盛り込みがちになってしまうのです。

 しかし、これは聞く方にもスキを与えてしまいます。スライドに多くのことが書かれていると、話を聞くよりも スライドの内容を読んでしまうことに集中します。私も聞く側にいる時に話ではなくスライドを先に読みます。あるいは、「スライドを持ち帰って後で読めばいいや」となってしまいます。そうすると、話を聞く必要がなくなってしまい、プレゼンターに対する注意力が低下するのです。

 したがって 、プレゼンテーションでスライドがあまりに充実していると、プレゼンターにとっても聴衆にとってもメリットはあるのですが、その場で集中して話をすることも、話を聞こともあまりできなくなってしまいます。

 TEDなど海外のプレゼンテーションを見ていると、まるでロックコンサートのような雰囲気です。プレゼンターの話が徐々に盛り上がり、観客も熱狂のコールや拍手を送っています。日本ではなかなかそういうわけにはいかないでしょうが、やはりその場で話をしっかり聞いて大きな感銘を受けることがプレゼンテーションの最終目的であるならば、 スライドにはあまり頼りすぎない方が良いでしょう。

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