水曜コラム「公務員の学び」第23回:RESASを超えよう

 前回の投稿では「RESASを使いこなそう」という話をしました。今回は、使いこなすだけでなく「RESASを超えよう」という話をしたいと思います。

 RESASはさまざまなデータを短時間で美しく表示してくれる、大変画期的なシステムです。データの種類も豊富で、年々最新のものに更新されています。これからも地方創生のために欠かせないシステムだと思います。

 しかしながら、RESASですべてのことを分析できるわけではありません。いくつか限界を感じた点もありますので、今回はそれについて述べたいと思います。

 第1に、古いデータがあまり掲載されていないことです。例えば、地方創生で最も重要な人口は、1980年以降のデータしか掲載されていません。もちろん1980年といえば40年前になりますので、確かに古いデータです。しかし、地方によっては1980年以前から人口に大きな動きがあったところもあり、そうしたところは1980年以前の人口もしっかり調べておく必要があります。RESASではそれができないので、結局ホームページや統計書などで国勢調査のデータを探す必要が出てきます。他のデータについても古いものが必ずしも十分ではないケースがありますので、ここは要注意です。

 第2に、複数の地域を比較する場合に、グラフ作成がうまくできない場合があります。 私は特定の市町村の人口動向を見るときに、同じ県内の他市町村と比べることがよくあります。それは、人口減少の程度がどのくらい深刻なのかを測るためです。他の市町村よりも人口減少が急激に進んでいれば強い危機感を持たなければいけませんし、逆に他の地域ほど人口減少が進んでいないのであれば、何らかの良い要素がその地域にはあると考えられます。こうした複数の市町村の動向を1つのグラフに表示する機能が、RESASには十分ではないのです。その場合は、やはりホームページや統計書などでデータをピックアップするしかありません。もちろんRESASにもデータのダウンロード機能はありますが、手間がかかる点は同じです。

 これらの点は地域を分析するうえで非常に重要です。その点でRESASに十分な機能が備わっていないことは、ある意味でRESASの欠点と言えるかもしれません。したがって、RESASが従来の地域分析に多大な効率化をもたらす大変画期的なものではあるのですが、さらに深い分析をする場合には再び従来の方法に戻る必要があるのです。もちろんRESASに掲載されているデータはすべてではないのでやむを得ないところですが、これまでの方法を超えたところにRESASがあるとすれば、逆にRESASを超えるためには従来の地域分析の方法に戻る必要がある、ということも心得ておく必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。