水曜コラム「公務員の学び」第24回:RESASの「まとめ機能」は脅威

 RESASの話をもう少し続けたいと思います。RESASは、毎年新しいデータと機能を加え、年々パワーアップしています。その中でも大きかったのは「まとめ機能」です。

 正式には「サマリー」と呼ばれるものですが、これはメニューを選ぶ必要さえなく、地域名を選ぶだけで多くのグラフを作成してくれるものです。これが登場する前は、RESASで表示したい内容をメニューから選ぶ必要がありました。人口のメニュー、産業構造のメニュー、観光のメニュー・・・といったように、それぞれ選んで表示する必要があったのです。しかし、この「サマリー」機能を使うと、それさえも省略することができます。何十ものグラフを1つの操作で作成してくれるのです。

 これまでは「ダッシュボード」と呼ばれる機能がありました(今も残っています)。これは、RESASで表示した図表をストックしておく機能です。RESASには図表の保存機能がないため、スクリーンショットで画像を保存するか、ダッシュボードを使って保存するしかありませんでした。ダッシュボードも確かに便利ですが、枚数に制限もありましたし、図表の作成にはメニューで選ぶ必要があることは変わらないので、「サマリー」にはかないません。

 私は、大学の講義でRESASの使い方にも触れています。どんな切り口から分析を行えばよいのか、図表を表示するためにどう操作するのか、などを教えているのですが、「サマリー」機能を使えば、一つ一つ丁寧に方法を教える必要がなくなります。これは確かに便利です。せっかくの機能を使いこなしてほしいと思います。

 しかし、これでは身につかないこともあります。それは、できた図表をどう分析に使うかです。確かに大量の図表が自動でできるのは大変便利です。しかし、その図表から何が見えるか(見えないのか)、他の図表と組み合わせた場合に何が発見できるか、さらに分析を深めるためにどんな図表が必要なのか(これ以上の深い分析はできないのか)など、分析の経路を自分で設定することは依然として必要なのです。

 こうした思考力は、長年の経験やカンなども含めて自分で高める必要があります。昔ながらの方法で分析をしてきた人には、そのプロセスのなかで経験やカンが蓄積されています。「サマリー」が出来てもなお、その点は重要なものです。
むしろ、「サマリー」機能ができたからこそ、これからは分析の力が求められるのではないかと思います。「サマリー」機能を存分に活かすためにも、経験やカンを積み重ねて分析の力を高めてほしいと思います。

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