木曜コラム「公務員の仕事」第24回:他の部署の応援

 公務員は基本的に1つの部署に配属され、その部署が所管する業務を担うことになります。例えば、私は市役所1年目で税務課市民税係に配属され、市民税の課税業務を行いました。これは、市民の所得金額や控除額を計算し、1人ひとりの課税額を算出して納税通知書を発行するまでの業務です。その後、納期までの納税が行われず滞納が発生した場合は、同じ税務課の収納諸税係が徴収業務を行うことになっていました。したがって、同じ市民税でも課税と徴収は別の部署が行い、担当職員も別という形です。市町村のもう1つの基幹税である固定資産税もまた、固定資産税係という部署が課税を行い、滞納が生じた場合はやはり収納諸税係が徴収を行っていました。

 このように、通常の業務ではそれぞれの職員が、所属する部署に与えられた所管事務を行っています。しかし、通常以外の業務では他の部署の応援をすることがあり、私も毎年何らかの応援をしていました。

 代表的なものは、大きなイベントです。例えば、8月には15万人以上の方が訪れる花火大会、9月には10万人規模の大きな祭が開催されていました。ほとんどの職員は、いずれかのイベントに応援として業務を行いました。花火大会、祭いずれも駐車場の整理や、来訪者の誘導等を行いました(祭でダンスをしたことも!)。マラソン大会の運営に関わったこともあります。

 イベント以外でも、選挙や国勢調査などの統計の仕事は多くの職員が応援に関わりました。選挙の当日は、投票所で多くの職員が業務を行います。受付や名簿の確認、投票用紙の交付、投票所の運営、投票状況の報告などです。役所の職員だけでなく保育士の方なども業務に関わっていたと記憶しています。また、現在アメリカ大統領選挙の開票が行われているようですが、選挙は厳格なルールに基づいて公正に行わなければならないので、大きな緊張感がありました。また、投票所は早朝7時から夜の8時まで開いていて、かなりの長時間労働になります。さらに、投票を終えた後にも開票の業務も行う職員がいます。その場合は、開票作業が加わるので、さらに労働時間がなくなります。私の経験では、最も長くて深夜3時ごろまで仕事を続けた記憶があります。選挙は日曜日に行われるので、深夜に開票作業を終えた後、ほとんど眠ることなく月曜日の朝8時半に出勤しなければなりません。この日は仕事になかなか集中することができず、残業せずに帰宅してそのまま寝るといった形になりました。

 衆議院総選挙を除き、選挙が行われのタイミングがほぼ決まっています。そのため、今年に行われる選挙は何かということがこうした応援の有無を決めることになります。年に何回も選挙がある「当たり年」の場合もあれば、まったく行われないこともあります。

 このように、公務員は通常の業務では縦割り組織の中で限られた仕事に従事するのですが、時々他の部署の応援でさまざまな仕事をする機会があります。選挙のような負担の大きい仕事もありますが、幅広い業務を知る機会でもあり、また他の部署の職員ともコミニケーションをとることができるので、個人的にはそれも1つの貴重な経験だったと思います。

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