金曜コラム「文章、プレゼンの基礎」第15回:メッセージへの反論を想定しておく

 文章やプレゼンに重要なのは、メッセージです。それらを通じて、自分(たち)が何を伝えたいのかをシンプルかつパワフルに伝えることが求められます。

 そこで不可欠なのは、メッセージの内容と根拠です。前者については、インパクトのある表現などの工夫があると思います。書店や広告でも、タイトルが売れ行きを大きく左右すると言います。同じ内容のメッセージでも、表現の工夫によって伝わり方に決定的な違いが出ます。キャッチコピーの作り方などの指南書も出ているので、それらを参考にすると良いでしょう。

 もう1つ大切なのは、根拠です。伝わるメッセージには、納得できる根拠があります。インパクトがありパワフルなメッセージには、「えっ?」と振り向かせる要素が入っていて興味を引くものですが、根拠に納得できなければ反発を生むことになるので、かえって逆効果です。「あんなものに騙されるな!」という気持ちさえ生まれかねません。逆に、納得できる根拠があると、「よく分かるメッセージだ!」と腑に落ちるでしょう。

 経済学や政策の分野では、誰もが納得できる根拠があるとは限りません。むしろ、少数意見や反対意見も多いことでしょうか。物理学や化学のような真理は、必ずしもありません。できる限り多くの人に納得してもらえる、あるいは、少数意見や反対意見にも配慮したメッセージになります(その分、シンプルさやパワフルさは少なくなりがちです)。

 こうした特徴から、文章やプレゼンではメッセージをシンプルかつパワフルに伝えると同時に、反論をあらかじめ想定しておいた方が良いです。文章やプレゼンに記載するとしても、どんな反論にも対応できるものではありません。また、プレゼンではどんな反論が出てくるかも分かりません。そこで、想定としてはさまざまな反論に対する答えを準備しておくと良いでしょう。

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