火曜コラム「オススメ書籍」第28回:宇野重規「民主主義とは何か」講談社現代新書

 この時期に、この著者から、このテーマで、この本が出た、ということに驚きますが、長期に及ぶ安倍政権から菅政権へと移行していくなかで、重要性を増しているテーマであることは間違いないと思うので、この機会にぜひ読んでおきたい本だと思います。

 本書は、民主主義に関する3つの問いかけから始まっています。要約すると、①民主主義は少数意見にどう対応すべきか、②民主主義で選挙はどのくらい重要か、③民主主義は制度か理念か、というものです。問いはシンプルですが、どちらか一方だけをキッパリと選ぶことは難しいと思います。このような形で読者に民主主義について考えてもらってから、本論が展開されていきます。

 展開は民主主義の歴史、つまり古代ギリシアから始まり、ヨーロッパやアメリカでどう継承・発展していったのか、そして自由主義とどう結合したのかも描かれています。民主主義は時代とともに変化したこと、さまざまな批判にさらされてきたことなどが描かれています。民主主義こそが最善の体制かどうか、一度立ち止まって問い直す必要があるかもしれません。

 そして、日本の民主主義の歴史にも簡単に触れられていて、最後に3つの問に対する著者としての答えを提示して民主主義の未来を論じています。

 本書の全体を貫くキーワードとなるのが「参加と責任のシステム」です。私たちの参加とともに政治権力の責任を追求することが民主主義にとって不可欠の要素である、まさにその通りだと思います。この時期に、この著者から、このテーマだからこそ、読者に重く伝わってくるのではないかと感じます。

 もちろん、日本だけでなく世界各国で民主主義への挑戦のような現象が見られます。これからの世界情勢を見極めるうえでも、本書は有益な視座を与えてくれるのではないかと思います。

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