水曜コラム「今週前半のニュース」第3回:副市長の公募制は普及するか?

 今週前半も多くのニュースにコメントをしましたが、今回は次のニュースを改めて取りあげたいと思います。

副市長、月70万円で公募 求む「変革おこす攻めの要」

 このニュースについて、私は次のようにコメントをしました。

 複数の副市長体制が普及している中で、新たな取組として注目される。多数の応募があるのではないか。

 副市長はその言葉どおり、市長に次ぐナンバー2の地位にある職員です。公務員に含まれますが、試験を受けて採用される職種ではありません。議会の同意を得て選任される形になります。もちろん、役職にふさわしい識見と人格が求められます。給料は月70万円とのことで、副市長としては平均的な水準だと思います。もちろん、一般職員よりも高いです。

 最近は副市長を複数置くケースが多くなっています。1人は一般職員から選任して組織内部の結束を図り、もう1人は国や県から派遣してもらいパイプを築くといった形が多いと思います。あるいは、一般職員から市長になった場合は副市長に国・県からの派遣職員と民間企業からの抜擢などといったこともあるでしょう。いずれにしても、出張などで庁舎を離れることの多い市長を幅広くサポートする役割として、複数の副市長が置かれるようになりつつあります。

 今回の記事は、その副市長を公募で任用するというものです。こうしたケースはきわめて稀ではないかと思います。なぜならば、副市長にふさわしい識見や人格を持っているかどうか分からないからです。もちろん履歴書を見て面接もするでしょうが、きわめて重要な役割を果たすべき副市長を選任するにはリスクも大きいのではないでしょうか? 対象は企業や官公庁などで5年以上働いた経験がある日本国籍の人で、職種や性別は問わないということですから、適任の人を選べない可能性もないとは言えません。

 ただし、そういう人だからこそ新しい視点を持っているでしょうし、はじめてその地域と関係を持つような人は面倒なしがらみなどもないので、これまでとは違った施策を進めてくれる可能性もあります。特に民間企業出身の人が副市長になるようなケースでは、民間企業の厳しさや効率性などを行政組織にも浸透させることができるかもしれません。もちろん副市長が複数いれば責任や負担も分かち合えるので、伸び伸びと仕事をすることもできるでしょう。

 いずれにしても、公募による副市長の募集はきわめて珍しいケースです。多様な人材を行政機関に招くことによって、組織の活性化が期待されます。今回の記事を話題づくりに終わらせることなく、具体的な成果を上げてほしいと思います。各地で具体的な成果が出てくるようになれば、こうした副市長の選任が急速に広がるのではないかと思います。

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