木曜コラム「公務員の仕事」第35回:公務員の出張

 先週の投稿では公務員のデスク仕事と外出仕事について説明しましたが、今回は外出仕事のうち出張について述べたいと思います。

 地方公務員の場合、法令上の定義とは別に、イメージとしては行政区域の外側にでかけることを「出張」と捉えていると思います(行政区域の内側であれば「外出」です)。つまり、市町村職員ならば他の市町村にでかけること、都道府県職員ならば他の都道府県にでかけることを出張と呼びます。

 ここでは、外出ではなく出張に話を絞りたいと思います。

 出張は、業務上の必要から区域外に出かけることです。国や県との調整・報告等のために霞ヶ関や県庁に行ったり、他の行政機関に先進事例の取り組みを聞き取りに行くようなことも出張としてあります。

 いずれにしても、業務上の必要から出張します。そこで、出張するには上司の許可が必要です。「いつ」「どこに」「何の用事で」出張するのかを記し、上司の許可印をいただくのです。許可を得て、はじめて出張することがが認められます。

 続いて、切符やホテルの手配などをします。基本的には自分で手配をしますが、一般的に最も合理的な手段でなければなりません。例えば、新幹線で行くのが最も早い場合は、基本的には新幹線を使います。飛行機を使うことはできません。宿泊するホテルなども自分で予約を入れることが多いです。部屋はシングル、ツインなどいろいろありますが、支給額の上限があるので豪華な部屋を予約しても上限を超えれば自己負担になります(自己負担でも良ければグレードの高いホテルに泊まることは可能です)。

 こうして、一定の手続きや手配を経て出張に行きます。なお、出張は1人で出かけることもあれば数人で出かけることもあります。数人の場合は同じ行程、同じホテルのこともありますが、現地集合・現地解散でも特に問題はありません(一人だけ単独行動はあまり勧められません)。宿泊のある出張の時は、夜に出張先で飲み会をすることもあります(もちろん自己負担です)。出張先の美味しい料理を食べるのも貴重な経験です。

 出張を終えた後は、「復命書」と呼ばれる出張報告書を作成します。いつ、どこに、どんな目的で出かけ、どのような成果を得たかを書類にまとめて報告します。しっかり仕事をしてきた、ということを証明することにもなります。これを提出して、出張の手続きは終わります。

 ただ、ごくまれに行程どおりに行動できないこともありました。電車がストップして別の手段で移動したような場合は、切符の払い戻しなど精算の手続きをします。なお、旅費や宿泊費は多くの場合、自分で立て替えます。出張を終えて復命書を提出した後、旅費の振込が行われます。

 自分自身は市役所に在籍中、出張する機会は決して多くありませんでした。部署によって頻度や行先は大きく異なります。オフィスにいないとできない仕事もあるので出張が長かったり重なったりすると仕事が滞ることもありますが、たまに外に出るというのも楽しいかもしれません。いずれにしても、出張も公務員の大切な仕事なのでしっかりこなしつつ、貴重な経験をする機会にもなると思います。

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