木曜コラム「公務員の仕事」第40回:3月ごろからソワソワ:人事異動の季節

 早いもので、まもなく2月が終わり3月になります。以前の投稿では年度末の仕事について少し紹介しましたが、実はなかなか仕事が手につかない事情もあります。それは、人事異動です。

 地方公務員の場合、3月31日付での退職または他の部署への異動が示され、4月1日から新しい部署に配属されます。都道府県と市町村で異動の間隔は少し違いますし、個人によっても違いますが、目安としては3~5年で別の部署に異動します。

 3月に入ると、まず退職者の話題が広がります。60歳の定年退職の方は必ず退職するのですが、定年前の退職者もいます。後輩に道を譲り、退職金も少し上乗せされるので定年前に退職を選ぶ先輩もいました。公務員は基本的に年功序列なので、退職する方は上位のポストが多く、退職によって空くポストの数に応じて昇進する人数も決まってきます。そのため、退職する人数が多い方が昇進のチャンスが増えることになります。私は30代で退職したので空きポストの数にはカウントされませんが、50代の方は自分の昇進と所属部署にかかわってきますし、若手職員にとっても誰が上司になるのか気になるところです。

 続いて、異動の話題が出てきます。最近のオリンピック組織委員会の人事でも分かるように、基本的には表に出ることはありません。表に出ないように細心の注意が払われていると言えます。したがって、あくまでもうわさのレベルで、「この部署にはいきたい」「ここは絶対嫌だ」など仮定の話で盛り上がるのです。

 職員にとっては、その時に所属している部署で仕事を続けたい人もいれば、どこかに移りたい人もいます。また、その理由が仕事の内容や負担(やりがいのある仕事かどうか、残業が多いかどうか)だけでなく人間関係(上司や同僚との相性など)も関係してきます。いろいろな思いが錯綜して、あれやこれや妄想するのです。

 もちろん、目安としては3~5年なので、それくらいの期間在籍している人は「そろそろ異動かな」と考えるでしょう。自分が異動するかどうか、どこの部署に異動するかは首長が決めることなので、身を任せるしかありません。期待と不安を抱きながら仕事をすることになります。

 こうした状況で進める3月の仕事には、年度の締めくくりとして行うものと次の年度の準備として行うものの2つがあります。前者については在籍中に済ませておく必要がありますが、後者については次の年度に異動して自分が所属していないかもしれないので、どこまで踏み込んでよいのか迷うところです。ある程度準備をしておいた方が次の担当の方もやりやすい点もあるかもしれませんが、次の担当の方がしたいような準備になるとは限らないので、かえって喜ばれないことも考えられます。しかし、自分が異動するかどうか、異動しても次の担当者がだれになるかどうかわからないので、ソワソワした気持ちとモヤモヤした気持ちの2つの気持ちが複雑に絡み合って、仕事をすることになります。

 このように、地方公務員にとって3月は特殊な仕事環境になるのです。

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