日曜コラム「マイ・オピニオン」第41回:市町村職員の在宅勤務拡大に向けたアイデア
東京都などの緊急事態宣言がまもなく解除されるのか、それとも再び延長されるのかに注目が集まっていますが、いずれにしても人々の行動を誘導・規制していくことは今後も必要です。しかし、政府はテレワーク7割の実現を企業などに求めているにもかかわらず、行政機関のテレワークはほとんど進んでいないようです。しかも想像を絶する残業時間を求められている部署もあり、働き方としても問題視されています。
確かに、行政機関のテレワークは、情報漏洩のリスクを考えると慎重にならざるをえません。それは、ネットワークだけではなく、書類も同じです。書類を持ち帰る時に紛失すれば、やはり情報管理が問われることになります。
しかし、だからと言って行政機関にテレワークが不要ということはありません。民間企業に強力な対応を求めている以上、行政機関も積極的にテレワークを進める必要があります。
そこで、市町村職員のテレワークの方策をいくつか考えて見たいと思います。
1つは、公民館など出先機関や学校施設の活用です。これらは各地に点在していて、庁舎での業務を分散することができます。情報管理の問題もないと思います。もちろん在宅勤務ではありませんが、出先機関でも庁舎でもデスク配置の間隔を広げて、密を避けることができます。
大都市では、サテライトオフィスやシェアオフィスの導入などによって通勤の負担を減らす動きもあります。これは在宅勤務ではありませんが、テレワークの1つと考えて良いと思います。公民館や学校施設を使うことは、ある意味でサテライトオフィス化することと言えるでしょう。
地方圏の市町村職員は、ほとんど自家用車か徒歩で通勤します。したがって、満員電車の密はほとんどないはずです。なので、庁舎の密を避けられればかなり対策になるのではないでしょうか。
もう1つは、フレックスタイム制です。すでに導入している自治体もありますが、まだ一般的とは言えません。早めに来て早めに帰る職員、ゆっくり来て遅くまで仕事をする職員に分ければ、コアタイム(必ず勤務する時間帯)を除いて密を避けることができます。大都市では通勤ラッシュを避けるための時差出勤が推奨されています。今後、時間帯別に電車賃を変動させることも検討されていると聞きますが、そうなれば時差出勤はますます進むでしょう。地方圏でも自動車通勤のラッシュがあります。もちろん密ではありませんが渋滞するので、フレックスタイム制の導入が渋滞の緩和にも繋がると思います。
フレックスタイム制を導入すると、働き方改革にもつながると思います。公務員の残業は、周囲に遠慮して残ったりするようなケースもあります。それは、同じ時間に仕事を始めることが一因ではないでしょうか。早く仕事を始めた職員は早く帰るのも自然ですから、ゆっくり来た職員に遠慮する必要もありません。勤務時間の概念と時間管理が明確になって良いのではないかと思います。
もちろん、こうした提案はアイデアの段階なので、実施に移すには検討すべきことも多い時は思います。また、他にも有益な方法はたくさんあるでしょう。大切なのは「一歩を踏み出してみること」だと思います。「やってみたら意外とうまくいった」という成功体験を積み重ね、他の市町村と共有しながら、積極的に進めてほしいと思います。