木曜コラム「公務員の仕事」第45回:公務員の在宅勤務は少しずつ増やしていった方が良い
新型コロナの第4波が来ているのではないか、と言われています。さまざまな新型コロナ対策が行われていますが、在宅勤務の拡大も重要な対策とされています。昨年の緊急事態宣言が発出された時には在宅勤務が多くの部署で行われたようですが、以降は徐々にオフィス勤務が戻りつつあります。在宅勤務の普及は、あまり望めないようです。
もちろん、オフィスのコロナ対策はそれぞれの行政機関で十分に行われていると思います。窓口はアクリルボードで仕切られ、待合室やソファもソーシャルディスタンスを取るようになっています。また、職員のデスクも職員の間にアクリルボードが設置されていたり(ちょっとした個室のような雰囲気になり、仕事には集中しやすいと思います。反面、コミュニケーションは少し取りにくいようです)。
しかし、民間企業では都心のオフィス需要に変化が見られたり、駅の周辺にサテライトオフィスや電話ボックスのような仕事スペースが増えてきて、在宅勤務やサテライトワークがある程度普及するものと思います。公務員と民間企業では仕事の内容が必ずしも同じではありませんが、在宅勤務にも一定のメリットがあると言われている以上、可能な限り在宅勤務を導入すべきことは公務員にも当てはまると思います。
では、どういう仕事は在宅勤務ができるでしょうか。私は、ペーパーレスを進めやすい仕事なら在宅勤務も十分にできると思います。公務員の仕事は書類の作成や処理が中心です。1人で作成する資料は自宅のパソコンで作れるので、在宅勤務でも可能です。ただし、書類の処理は1人ではできません。部署のメンバーで書類を共有したり、上司に書類を渡したりしなければなりません。紙の書類を共有したり渡したりするのは、もちろん在宅では不可能です。これに対して、ペーパーレスならばネットワークを使えば可能になります。オフィス勤務の場合は隣の人と書類を受け渡しすれば良いので、ネットワークよりも紙の方が圧倒的に便利です(同じ部屋にいる家族とLINEでコミュニケーションをとるよりも直接話しかけた方が早い、ということと同じです)。
そこで、電子決裁のシステムや紙文書の電子化の仕組み、クラウドでのファイル共有が必要になります。また、自宅からこれらのネットワークに接続するためのセキュリティも必要になるでしょう。このあたりが大きな障壁になって、在宅勤務の継続が難しくからオフィス勤務に戻りつつあるのではないかと思います。
しかし、そのために在宅勤務をやめてオフィス勤務に戻してしまうのは賢明とは思えません。人財確保や働き方改革、ネットワークをめぐる技術革新やビジネスの拡大によって、公務員にも在宅勤務の機会を広げる必要性と可能性が高まってくると思います。時間やお金はかかるかもしれませんが、自治体でノウハウを共有して良い取り組みを取り込んでいくことが求められると思います。
これから、公務員の仕事に在宅勤務の機会が大きく広がることを期待したいと思います。