公務員試験の勉強法:目標は大きく、歩みは小さく

私が所属する大学でも、今週から秋学期がスタートします。学生は短期間で大きく成長するので、夏休みを経てますます逞しくなった姿を見るのは、とても楽しみです。と同時に、公務員試験を受ける予定の3年生にとっては、夏休み前後から勉強をスタートさせるので、気持ちと行動を大きく変える必要のある大切な時期でもあります。

公務員試験では、自分のしたい仕事をイメージして受験先を選択します。大学受験と大きく違うのは、初めて取り組む科目が多いので自分の成績(合格可能性)に関するポジションが当初はよく分からない、ということです。大学受験の場合は、これまで学んできた科目(英数国社理)の成績や得意不得意はだいたい分かっているので、自分に合う大学はおおよそイメージできます。しかし、公務員試験は法律系・行政系・経済系いずれも初めての科目(学部で本格的に学ぶ科目を除く)が大半です。自分がこれらの科目にどのくらいの成績を獲得できるかはすぐには分かりません。

そのため、公務員試験ではまず自分の志望先を(成績に関わらず)決め、勉強をとにかくスタートさせてから成績のイメージを固めていくことになります。したがって、良くも悪くも「無謀な目標」を立てやすいのではないでしょうか。高校や大学とは違って数十年単位で長く関わる公務員の仕事なので、やりたいことを基準に選ぶ、つまり高い目標を立てるには良い環境なのかもしれない、と思います。

一方で、実績はゼロから積み重ねていくことになります。つまり、目標に対する歩みは小さいものとなります。特に暗記項目や新しい概念の多い専門分野の試験には、その傾向が強いでしょう(教養試験は高校までの勉強やパズルのような試験なので、一気に成績がジャンプすることもあります)。したがって、目標に対する進み具合は、小さくとも着実であることが必要です。

以上から、公務員試験への取り組みとして、「目標は大きく、でも歩みは小さく」ということを意識することが大切になってきます。自分の「したい仕事」から受ける試験を選ぶことを勧めます。「受かる試験」から仕事を選ぶことは、大学受験で「受かる大学」から選ぶことと同じですが、公務員試験では数十年単位の仕事に関わる場合には避けたいものです(逆に言えば、難関の方が望ましいことにならないのも、公務員試験の取り組み方です)。

そして、勉強の進捗は小さくても着実である必要があります。科目も多く、初めて学ぶものばかりなので、最初から良い成績を得ることはできません。1つずつ、コツコツこなしていくことが大切になります。

秋学期の開始に先立ち、特に3年生の学生の方に考えていただく題材になれば、と思います。

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