公務員の仕事紹介:先進地の訪問・視察
先週、私が所属する大学のゼミ合宿で福井県を訪問しました。かつて一緒に仕事をした先輩・後輩の皆様、県庁職員の皆様には大変お世話になりました。私も職員時代には多くの学生や公務員の皆さんを受け入れたり、各地を訪問したことがあります。そこで、今回は公務員の先進地視察について、これまでの経験と今回の合宿を基に説明します。
地方自治体で新しいビッグプロジェクトや具体策を検討するための情報収集として、それを既に実践している自治体に出かけて担当者から直接話を聞くのが先進地視察の意味です。ニュースでは「議員の視察が観光でかなく無意味だし税金のムダ」といった認識が広がっていますが、視察の目的と内容を明確に示すことが大切であり、視察の成果を職場できっちりと活かすことが大切です(ただし検証は容易ではありませんが…)。
また、先進的な取り組みはニュースや雑誌、国の作成する事例集などでも紹介されています。これらからも、非常に有益な情報を入手することはできます。しかし、把握できるのは概要までです。視察の前にこれらで情報収集(予習)しておくことはもちろん必須ですが、実際に進めるうえでの苦労話や実は隠れた課題があるなど、直接聞かないと得られない話も多いのです。また、取りあげられている事例は限られた時期のみのものであり、その前後でどのような変化が起きているのか分からない。例えば、少し前に注目されていてメディアでも取りあげられたことが、実はひっそりと終わっていた、ということもあるのです。そうしたことも含めて本当にリアルな政策の実態を把握できるのが、視察の良いところだと思います。
私の経験では、職員の時代に予算管理システムを更新するため、最新の機能を取り入れた自治体を何人かで訪問したことがあります。確か、山梨県と埼玉県のある市町村に行きました。職員に直接聞けるのは興味深いですし、宿泊の場合は食事なども楽しい経験になります。あの時は同じ年齢層の職員で訪問したので、気を使うこともなくて良かったです。
もちろん、出張には予算がかかりますし、訪問先の了解を得る必要があります。おおよその地域と日程を予め決めておき、了解の得られた自治体を訪問することになります。1度の訪問で1~2時間の聞き取りを行うので、移動を含めると1日で2自治体の訪問が目安になるでしょう。宿泊する場合は翌日にも訪問先を設定します。通常の勤務と同じなので、自由行動や観光はもちろん控えなければなりません。むしろ、そこに気を取られすぎてスケジュールが過密になりがちです。また、訪問を許可してくれた職場の方々への感謝の印として、お土産を購入しておくと良いです(自己負担)。
ただ、やはり最近は批判も大きくなり、ごく限られた訪問の機会しかないことは、残念でもあります。私が所属する自治体学会などに毎年出席する職員の方は、旅費も参加費も自己負担です。それだけに、真剣さが違っています。こうした取り組みがもっと容易に行えるよう、自治体が応援する制度がもっとあると良いと思っています。