月曜コラム「公務員への道」第13回:選択肢を作る人の気持ちを考える

 公務員試験の問題は、5つの選択肢から正解を1つ選ぶ形式です。もちろん、単純に「正解を1つ」選ぶだけでなく、「誤っているものを1つ」「正しい用語の組み合わせを1つ」選ぶという形の問題もあります。要するに、5つの選択肢の中から、問題の解答に当たる1つの選択肢を選ぶことになります。

 私が担当する講義でも公務員試験の形式を使って5つの選択肢から1つを選ぶ形で期末試験をしています(今学期はオンライン講義のため、試験はしませんでした)。これまで問題を作っていると、何となく公務員試験を作成する人の気持ちが分かってきたように思いますので、その経験を皆さんの勉強にも役立ててほしいと思います。

 私が行う期末試験は、他の講義と同じように単位を認定するためです。ABCや優良可など何段階かで評価します。そこで、勉強した度合いが評価に直結するような問題を作ります。しっかり講義を聞いて、内容を理解し覚えている学生は高い点が取れるように、そうでない学生には低い点しか取れないように、問題を作成します。難しすぎる問題でも易しすぎる問題でも、努力し学生は報われませんので、良い問題とは言えません。

 そこで、易しい問題と難しい問題を混在させます。易しい問題は多くの人が正解できますが、難しい問題は努力した人しか正解できません。もちろん、問題ごとに難易度が表示されているわけではありませんので、自分で見極めなければなりません(参考書には難易度が表示されていますが、難易度を見分ける力も必要なので、あまり見ないほうが良いでしょう)。

 難易度の高さは、不正解との違いを明確にするか不明確にするかで調整できます。例えば、「江戸幕府を開いたのは織田信長である」という選択肢はすぐに不正解と分かりますが、「江戸幕府を開いたのは1602年である」という選択肢は微妙になるでしょう。年号までしっかり勉強すれば正解できるわけですが、そこまで正確に覚えている人は少ないので、難易度を上げることができます。

 また、選択肢は5つあるので、4つは不正解です。その不正解も、4つとも明らかに不正解と分かるものは稀です。2つくらい最終候補に残ることも多くあります。その場合も、最終候補の選択肢をもう一度読み、どこが正解か不正解か迷う点なのか、その迷いをどうやって出題者が誘っているのかを考えてみてください。出題者は決して困らせようと意地悪しているのではなく、勉強の度合いを確かめているわけです。なので、出題者の気持ちになって「何と何の区別を見ようとしているのか」を考えてみると、答えが分かることもあります。

 もちろん、これはテクニックなのですが、「選択肢だけで答えを探せるので勉強しなくても良い」というわけでは決してありません、むしろ、勉強しているかどうかを試しているのですから、勉強するに越したことはありません。しかし、範囲も広いのでどうしても穴が開いてしまいます。その穴を埋めるための方法として捉えてください。

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