木曜コラム「公務員の仕事」第33回:ブラックな除雪作業
私の故郷である福井県など北陸地方では、年末年始に大雪に見舞われました。今年はコロナのこともあって帰省はしませんでしたが、ここ2年ほど雪がほとんど降らなかったこともあって、「今年は降るだろう」などと言われていましたが、さっそく12月からまとまった雪が降って少し驚いています。
台風や豪雨・地震といった大規模災害は国内各地で頻発するなかで、福井県は近年そうした被害は特にありませんでした。しかし、大雪の被害は「さんろく」「ごーよん」と呼ばれた昭和36年と54年の2回ありましたし(54年は首都圏に住んでいて、帰省ができませんでした)、平成18年や30年にもありました。
平成18年の豪雪の時に私は市役所職員で、国道に何日も立ち往生している車におにぎりやパン、ジュースなどの支援物資を用意する仕事などをしたことがあります(夜の全国ニュースで放映されました)。物資を受け取った方の反応はいろいろで、「遅い」と怒る人もいましたし、感謝されて手紙まで送ってくれる人もいたことを覚えています。
また、平成30年の豪雪の時は私は東京にいましたが、福井の行動が寸断され死者も出てしまいました。さらに、除雪には1日数千万円から億単位の費用がかかるため福井市の貯金(基金)が枯渇し、財政再建を迫られる事態となっています。このように、雪の災害もまた深刻になると大変です。福井県は「住みよい県」「幸福度日本一」などと言われていますが、雪による災害は大きなマイナスになります。
雪で最も印象に残っているのは、除雪作業です。災害クラスの大雪にならなくても、数十センチ積もることは毎年のようにあります。そうすると、深夜2時ごろから除雪作業が始まります。道路管理者(国や自治体)がそれぞれ除雪のマニュアルなどを定めていて、積雪量等に応じて除雪作業を行います。深夜に行うのは、朝の通勤通学がストップしないようにするためです。除雪車の大きな音で寝られなくなることもありますが、除雪作業をしてくれるから活動ができるので、ありがたいです。
この作業そのものは建設会社等の方々が担っているのですが、除雪の指揮監督や誘導等は自治体職員が行っていました。したがって、雪が降ると道路担当部署の職員も仕事に出なければなりません。深夜に除雪作業の仕事をしても、それで通常の仕事がなくなるわけではないので、そのまま日中の仕事に従事するなど体力面での負担も大きいです。
さらに、除雪をめぐって住民からのクレームもあります。「早く除雪に来てくれ」とか「我が家の前だけ除雪が不十分だ」など、なかには容赦ないものもあります。住民の気持ちもある程度は理解できますが、クレームへの対応は職員にとって精神的な負担にもなります。雪が降ると、道路担当部署はあっという間にブラックな職場になってしまうのです。私自身が配属されたことはありませんが、同じフロアに担当部署があったので、その時の異様な雰囲気を覚えています。季節限定の一時的なものとは言え、本当に大変な職場だと思います。