木曜コラム「公務員の仕事」第41回:いよいよ3月議会
地方自治体では、毎年2月末から3月初にかけて議会が始まります。議会が終わるのが3月下旬なので、3週間から1か月に及ぶ長さになります。地方議会は年に4~6回程度行われるのですが、その中で最も内容が濃いのが3月議会です。
その理由は、議会に提出される議案として条例(地方自治体の法律)や予算が新しい年度に向けた内容になるからです。特に予算は1年間の住民サービスの内容や大きさを決めるものなので、市民はもちろん議員さんの関心も高く、提案する行政側も万全の準備で議会に臨みます。
地方議会の冒頭では、都道府県知事や市町村長が「提案理由」を説明します。幅広い政策分野にわたり現状や見通し、今後の取り組みや所信などを述べるものです。その後、議会に提案される条例や予算などについての審議や質問などが続いていきます。
特に予算は概要の説明や質疑が詳細かつ入念に行われるので、説明する側(行政)は十分なデータを用意し、質問する側(議会)は提案された予算を細かくチェックします。説明するのは首長(知事や市町村長)、幹部職員(部長など)ですが、一般職員も資料の準備などをします。
その光景は、テレビで見る国会中継とよく似ています。最近は「説明責任」をしっかり果たすことが特に重視されているので、特に応える側は十分な説明に努める必要があります。ただし、議員さんからの質問も多岐にわたり、さまざまなニーズが寄せられるので、必ずしも明快に説明できるとは限りません。何となく歯切れが悪い印象もないわけではないのでが、議事録としてしっかり残るので、それしか答えられないような質問もあります。
議会の模様は、地方でもテレビ中継されることがあります。私の地元である福井県では、県議会が地元のテレビ局で、また、市議会がケーブルテレビで放送されていました。議会の全部ではありませんが、見ると意外に面白いのではないかと思います。もちろんポイントはニュースでも取り上げられますが、どうしても一部のシーンに限られます。ニュースの裏にある全体の文脈や、ニュースに取り上げられないやり取りでも、生活に直結することもありますので、ぜひ議会中継をご覧いただきたいと思います。
特に、公務員をめざす人には、どこの部署に所属しても議会との関係が出てきますし、その地域にどのような課題や問題意識があるかも分かります。面接などで「議会中継を見ている」と言えば、面接官も驚くでしょう。ぜひ議会でどのような動きがあるのか、関心を持って見てください。