月曜コラム「公務員への道」第52回:公務員試験対策はもはや「特別のもの」ではない!
緊急事態宣言のためか年齢のためか、1日・1週間があっという間に過ぎます。明日から6月、春学期の講義も後半に入るところです。
大学で公務員を目指す学生向けの授業をしているので、30年ほど前に勉強していた公務員試験の問題を改めてやっています。月日の流れは早いものですが、さすがに30年前のことは頭の中に残っていません。科目が幅広く、覚えなければいけないことも大変多いので、いきなり問題を解いてもさっぱり分からないというのが正直なところです。
大学受験でもそうですが、試験を終えた後は学んだことをすっかり忘れてしまい、それでもその後の生活や勉強には大きな支障がありません。公務員試験でも、その後の仕事に試験勉強で学んだことを使うことはほとんどありませんでした。なので、今あらためて解いてみても分からなかったのだと思います。
しかし、これからの公務員には試験で学んだことが必ず必要になってくると思います。法律科目や経済科目・行政科目はもちろんのこと、数的推理・判断推理などの教養科目も政策形成に必要な知識や思考力を高めることができます。もちろん実際の仕事では具体的な課題に直面するので、学んだことがそのまま使えるわけではありません。しかし、そうした課題に対してどのような知識が必要なのかどのように思考すれば良いのかを探る入口として試験で学んだことを想起できるかどうかが重要になります。
これまで、実際の仕事で直面する具体的な課題には、ルールや前例が重視されていたのですが、これからはそういうわけにはいきません。必要な情報を収集整理し自らの頭で考え抜かなければならないのです。つまり、公務員試験は就職のための手段だけでなく、これからの公務員に必要な資質を身に付けるためにも必要になってくると思います。
したがって、これからの公務員に必要なのは、学び続け、考え続ける姿勢です。就職のためではないにせよ、公務員試験の勉強はこれからの公務員に必須の資質として取り組む必要があると思います(試験に合格しなくて良い場合の勉強はプレッシャーが少なく、楽しく取り組めるものです)。もちろん、試験の範囲だけでなく様々な分野を学んでいかなければならないのですが、いずれにしても、これからの公務員は学ぶことが仕事の日常に大きく入ってくることになります。したがって、学生時代に取り組む公務員試験の勉強は、就職のための特別なものではなくなってくるのではないかと考えています。