月曜コラム「公務員への道」第31回:グループディスカッションは冷静に
公務員の試験対策で最も難しい(難易度ではなく準備するチャンス)のが、グループディスカッションではないでしょうか。一次試験で出される択一式問題は過去問集が豊富にありますし、独りで勉強しても問題ありません(個人的には、むしろ独学の方が効率的とさえ思います)。面接や小論文も問題集が豊富にあるので、よく出る質問やテーマを事前に想定しておくことができます。
これに対して、グループディスカッションは対策本がごく限られていますので、事前の想定は容易ではありません。さらに、だれが相手なのか予想もつかないのです。
もちろん、面接も誰が相手(面接官)なのかが分からない、という点があります。人間的な相性が合う場合と合わない場合の両方があるので、面接の出来栄えも運にも少し左右されるところがあるでしょう。面接の難しい点はそこに1つあると思います。
グループディスカッションは、この部分がさらに大きくなります。なぜならば、グループなので複数の知らない相手がいることと、全員が受験者であることです。特に後者の点は非常に大きいです。
面接の場合は複数の面接官がいたとしても、基本的には受験者の能力を引き出し、それを測ろうとしていると思います。
しかし、集団討論の場合は全員が受験者であり、言わばライバル、もっと言えば自分が合格留守ためには蹴落とさなければ相手です。その相手と対峙するのがグループディスカッションなのです。したがって、場合によってはメンバーからの妨害やトラップのようなものに邪魔されてしまい、受験者の能力を引き出さないようにされる可能性もあります。「そんな悪者はいない」と思うかもしれませんが、受験者も必死ですから合格のために手段を厭わない人がいるかもしれません。
そこで、まずはグループディスカッションこそ冷静になる必要があると思います。自分の意見を熱く語り、ディスカッションをリードすることが強いアピールになると思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。むしろ、公務員の仕事で利害関係者との調整を行う場合が多いのですが、声が大きい人の意見に結論が左右されないよう注意しなければならないので、受験の時にグループディスカッションを過度にリードしてしまうと、自分自身が声の大きい人になって場を左右する存在と見られ、かえって公務員としての適性が足りないと評価されてしまうかもしれません。
そこで、グループディスカッションでは、まず冷静になって議論の流れをしっかりつかんでいることが必要だと思います。そのためには、途中で意見を整理したり、結論に向けての論点を抽出するなどの役割を果たしていくことの方が、グループでの存在は地味かもしれませんが、確実に公務員としての適性を持っていると評価されるのではないかと思います。