公務員の仕事紹介:公務員の研修-初任者編(続き)
公務員の初任者研修は、まさにゼロから公務員の基礎を叩き込まれる、というものでした。
地方自治法や地方公務員法といった基本的制度、予算に関する用語などはもちろん、挨拶のしかたまで教えていただきました。現在、私は大学に身を置いて学生と接することが多いのですが、メールや会話でも基本的なマナーが身についていない学生に時々会います。しかし、私の感覚は「大学生にもなって、そんなこともできないのか」というよりも、「自分も学生時代は何も知らなかったな、確か公務員の初任者研修で初めて教えてもらったな」というものです(私の学生時代には、メールはまだありませんでした)。全体としては、今の大学生の方がマナーは良いのではないか、と感じています。
話を戻すと、私が挨拶で最も衝撃を受けたのは、電話対応での「いつもお世話になっております」という言葉でした。今でこそ当たり前のように使っています(メールソフトでは定型文として毎回自動的に入力される設定にしている)が、初任者研修で初めて聞いた時に、2つのショックを受けました。1つは、「お世話になる」とはどういうことか、その人の世話をするほど深い関係ではないのに・・・などと違和感を覚えたからです。今はそんなことをいちいち考えても仕方ない、と思っていますが・・・。もう1つは、他市町村の研修参加者からその言葉を聞いたことです。もうそんなことまで知っているのか、進んでいる人がいるのに自分は何も知らないんだな・・・と衝撃を受けました。
他にもいろいろ学ぶことはあったのですが、確か「地方公務員研修講座」といったような書籍を使って学んだことを記憶しています。そうした本は今でも出版されていて、おそらく研修で使われているでしょう。私は、これを学生時代から読んでおくことを勧めたいと思います。それは、自分が公務員になったことを疑似体験できることで、合格へのモチベーションを高めることができるからです。公務員に関する制度は試験に出題されるので試験対策にもなりますが、それよりも合格後のイメージができることの方がはるかに大切だと思います。
研修で学んだことは、挨拶のような仕事に直結するものもあれば、仕事の背景にある制度として直結しないものもあります。仕事に関連することの多くは、仕事を通じて学ぶことになります(オン・ザ・ジョブ・トレーニング=OJT)。その意味で、初任者研修は公務員1年生としての土台を作り、配属された部署で専門性を高めるきっかけとして、大いに役に立ちました。
その後もさまざまな研修を受けましたが、初任者研修ほど大きなインパクトのあったものはなかったと記憶しています。