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毎日の勉強で過去問を中心に進めていくのは、何よりも合格を獲得するためです。科目が幅広い公務員試験は、過去問を解いていろいろな問題に触れることが試験本番で正解を増やす最短の道なのです。しかし、過去問を解くだけで本番に臨むのは実は、不十分です。毎日の勉強で過去問を解くのと試験本番で問題を解くのでは、大きな違いがあるからです。この違いを理解し、それに合わせた対策もしなければなりません。
試験本番が毎日の勉強で過去問を解くのと大きく異なる点として、次の3つがあります。
①時間の制約がある
②難易度と科目の順序がランダムに出題される
③独特の緊張感と不安がある
まず、①です。毎日の勉強で過去問を解く時は、1問ごとに時間をしっかり区切って勉強することは少ないと思います。むしろ、最初のうちは時間をかけてゆっくりと考え、理解を深めながら習得していくことが必要です。しかし、試験本番では時間をかけて考える余裕はありません。1問にかけられる時間は単純に計算して3~4分、難易度や得意不得意によって多少メリハリをつけたとしても最長6分程度ではないでしょうか。そのため、日頃はゆっくり考えれば正解できる問題でも、本番では正解できなくなるかもしれません。
また、試験本番では1問ずつ正解か不正解かを確認することも不可能です。「前の問題で正解できたから気持ちが楽になった」「前の問題を間違えたから次は頑張らないと」ということができないのです。
次に、②です。毎日の勉強で解く過去問では、例えば問題集に掲載されている問題には★の数などで難易度が親切に表示されていて、解く前から易しい問題か難しい問題かを確認することができます。易しい問題ならば楽な気持ちで取り組めるでしょうし、難しい問題なら気合も入ることでしょう。毎日の勉強で少しずつ習得していくためには易しい問題から進めることが望ましいので、難易度の表示は助かります。しかし、試験本番では問題に難易度が表示されません。難易度のバラバラな問題が、バラバラに並んでいます。しかも、科目の並びもパターンがあるわけではありません。このような試験で合格を獲得するには確実に正解すること、つまり自分が正解できる問題をしっかりと見きわめ、解いていくことが不可欠です。難しい問題を先に解こうとすると時間を取られてしまい、残りの時間が少なくなって優しい問題も解けなくなる、といったことになりかねないのです。
また、日頃の過去問では科目ごとに勉強を進めていくことが多いでしょう。ある程度まとまった時間を特定の科目に充てて勉強をしていくことが確かに効率的です。しかし、試験本番では出題される科目の順序もランダムですから、問題が並んでいる順でそのまま解いていくと頭の切り替えができず、混乱してしまうでしょう。最初の数的推理の問題で時間をかけて考え、次の法律問題で記憶を呼び起こし、さらに次の問題で英文を読み、今度は判断推理…では、忙しくて仕方ありません。
最後に、③です。毎日の過去問では自宅や予備校の学習室など慣れた場所で問題に取り組めるので、緊張感を持つことなく勉強できます。しかし、試験本番は初めて訪れる会場で、周囲にいるのは友人ではなくライバルですし、試験の結果が合否を決定します。このように、試験本番は毎日の勉強とまったく違う環境になるのです。もちろん、模擬試験など本番と似たような雰囲気で試験を受ける機会もあるでしょう。しかし、それでも本番の緊張感は独特です。特に第一志望の試験は「失敗したくない」という思いがどうしても強くなり、過剰なプレッシャーを感じてしまいます。
このように、日頃の過去問の勉強と試験本番の大きな違いとして、①時間の制約がある、②難易度と科目の順序がランダムに出題される、③独特の緊張感と不安がある、3つが挙げられます。しかも、それぞれの違いが相乗効果となって、違いをますます大きなものにしているように思います。
これらは毎日の勉強で過去問を解くだけでは対処できないので、別の取り組みが必要になります。取り組みの方法については電子書籍で詳しく説明していますので、ご覧ください。
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