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 このホームページに多くアクセスいただいているテーマに、「公務員試験は1日何時間勉強すれば良いの?」というものがあります。確かに、勉強の負担が大きいと言われている公務員試験に合格するには、それだけの覚悟も必要ですし、何よりもしっかり準備をして合格したいから、勉強時間に関心が集まるのは当然のことと思います。

 ただし、勉強時間というのも曖昧な言葉です。例えば、30分しっかり集中して勉強すれば30分の勉強時間となるでしょう。しかし、ラジオを聞きながら漫然と30分問題を解いたとしても、同じ30分とはならないと思います。そこで、重要なのは、

 密度×時間

 という考え方です。長い時間ダラダラと勉強するのではなく、短い時間でも集中して勉強する方が、アルバイトや娯楽も含めて24時間を有効に生かすことになると思います。そこで、勉強の密度を上げる方法としてポモドーロ・テクニックと締め切り効果の活用の2つを取り入れることを紹介したいと思います。

 私は日ごろの仕事で60分を3つに分け、次のように細かく休憩をとっています。

①12分の仕事と6分の休憩
②12分の仕事と6分の休憩
③12分の仕事と12分の休憩

 合計すると60分なので、1時間の使い方となります。内訳は、36分が仕事、24分が休憩です。「60分のうち36分しか仕事をしてない」と思われるかもしれません。しかし、それだけ集中力が高い状態で仕事をします。タイマーを付けて「あと何分あるか」を意識することで、「それまで頑張ろう」「何とか終わらせたい」という気持ちが高い集中力をもたらすのです。そして、休憩は6分間あるいは12分の長い休憩も確保して、もちろんリフレッシュの時間ですがメールの確認など負担が小さくて細かな仕事も少し入れています。

 これは「ポモドーロ・テクニック」と「締め切り効果」を組み合わせた仕事術と言えます。「ポモドーロ・テクニック」とは、仕事と休憩を繰り返すことで長時間の仕事ができるようにする方法です。一般的には、25分の仕事と5分の休憩を繰り返します。したがって、1回の仕事と休憩で30分、2回なら60分となり、60分のうち仕事が50分、休憩が10分となります。本項の冒頭でリズムの重要性を述べてきましたが、ポモドーロ・テクニックはまさにリズミカルに仕事を進めるための方法にもなっています。

 私の場合は60分のうち休憩が24分なので、一般的なパターンの2倍以上になっています。しかし、私には25分が少し長く感じられます。仕事の質や難易度にもよりますが、難しい本などを読んでいる時の集中力は15分も持ちません。また、短めにしておけば12分以上集中できそうな時はそのまま仕事を続けるので、「今日は調子が良い」と自信を持てます。こうしたことで、あえて集中する時間を短めにしているのです。

 さらに、「締め切り効果」もフル活用できます。「締め切り効果」によって、締め切りがモチベーションになって集中力が高まります。大学のレポートや卒業論文でも、提出期限が先の時はなかなか手がつかないものですが、期限が近づいてくると集中して執筆できます。本当は時間をかけてコツコツ進めた方が楽なのかもしれませんが、なかなか容易ではありません。これは、大人になっても同じことです。

 そこで、これを逆に活用して、締め切りを細かく設定しておくのです。1つ1つの締め切りに間に合わせようと、集中力を引き出すのです。私の場合、60分で3回の締め切りがあるので、一般的なポモドーロ・テクニックに比べて締め切りの数が多くなり、それだけ集中力を高めることができます。

 公務員試験対策の場合は過去問が中心になるので、締め切り効果は問題を解く制限時間を設けることと同じです。したがって、「この12分で2題解いてみよう」などと目標を立てて、チャレンジしてみるといった使い方もできると思います。これは本番対策にもつながってきます。

 このように、勉強時間だけでなく密度にもこだわってください。そのために、ポモドーロ・テクニックと締め切り効果を活用した休憩の取り方を勧めたいと思います。

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