→前回の話「女性の公務員は働きやすい?」に戻る

 →目次に戻る

 この際、せっかくだからもう1つだけ聞いてみようと思い、私は次の質問をした。

 私「あのー、せっかくなので仕事のことではないんですが、聞かせてもらえますか?」

 女性活躍課長「いいわよ、どんどん聞いて」

 私「公務員の給料で余裕のある生活はできますか? 給料の金額とか手当の種類とかは調べると出てくるので分かるんですが、正直それで生活できるかどうかがイメージできなくて、少し不安なんです。公務員の給料は高いと言う人もいますし、安いと言う人もいるので、本当はどっちなんでしょうか?」

 女性活躍課長「確かに不安よね。初任給は分かりやすいけれど、その後はモデルとか平均くらいしか分からないから、一人ひとりの生活レベルまでは分からないわよね。じゃあ、私のことと周りの人のことで分かる範囲でいいかしら?」

 私「はい!ありがとうございます。よろしくお願いします」

 女性活躍課長「一言で言えば「ぜいたくはできないけれど楽しい生活はできる」ってことじゃないかしら。公務員の給料は民間企業と同じレベルになっていて、国家公務員の場合は人事院勧告で給料が決まるのよ。人事院が毎年、民間企業と国家公務員の給料を調べて、差があると国家公務員の給料を下げたり上げたりして調整するのね。景気が良いと民間企業の給料は上がるから、国家公務員もそれに合わせて上がるし、逆に景気が悪いと民間企業の給料は下がるから、国家公務員もそれに合わせて下がるのよ。だから、基本的には民間企業と同じレベルになっているわ」

 私「そうなんですね。じゃあ、公務員の給料が安いとか高いと言うのは、単なる噂だってことですか?」

 女性活躍課長「それが、そうとも言えないの。景気が良くても全部の民間企業で給料が上がるわけでもないし、景気が悪くても給料が上がる民間企業もあるじゃない? 要は、民間企業も業種や企業によってバラバラなのよ。でも人事院が合わせているのは民間企業の給料の平均だから、見る人によって高く見えたり低く見えたりするのよ。景気が良くて給料がすごく上がった企業に勤めている人は、公務員の給料を安いと思うでしょうし、景気が悪くて給料がすごく下がった企業に勤めている人は、公務員の給料は高いと思うでしょうね。だから、公務員の給料が安いとか高いと言うのは単なる噂ではないけれど、人と時期によって見方が変わるっていうのが真相だと思うわ」

 私「なるほど、分かりました。公務員の給料は安定しているって聞いたことがあるんですけど、上がりすぎることも下がりすぎることもない、ってことですね」

 女性活躍課長「そうね。ただ、地方公務員の給料は高いと思われているみたいよ。私が聞いた範囲だけれどね」

 私「そうなんですか? なぜ地方公務員だけなんですか?」

 女性活躍課長「地方公務員も民間企業の給料に合わせている形にはなっているの。でも、小さい自治体には人事院みたいな組織がないから、国の人事院勧告に合わせているのよ。でも、人事院が調べているのは従業員の多い民間企業だから、中小企業とか零細企業が多い地方だと地方公務員の方が給料が高く出やすくなるの。そうした仕組みが適切なのかどうかは分からないけれど、地方公務員の給料は高いと言われることが多いんじゃないかしら」

 井上「特に退職金は高いみたいだね。新卒で採用されて定年まで勤めれば、地方公務員の退職金は2000万円くらいは出る(ここから税金が引かれる)。国家公務員とほとんど変わらないレベルなんだ。だけれど、地方でそこまで退職金が出るのは銀行とか限られるんじゃないかな? 小さい会社だと1000万円も出たら良い方だ、って話も結構聞くからね」

 私「へぇ、そうなんですね。退職金なんて何十年も先のことなので、まったく意識してませんでした。でも大きいですね」

 女性活躍課長「なので、生活は十分に出来るわよ。もちろん、セレブみたいな生活はできないけれど、オシャレもランチもできるし、旅行も行ける。ちょっとした楽しみは、十分にできると思うわ。たぶん公務員になって金持ちになりたい人はいないと思うから、ある程度の収入があれば満足できる人が多いでしょうし、それは可能なレベルと考えて良いんじゃないかしら。楽しい生活はできるわよ。私も仕事だけじゃなくて、プライベートも十分に楽しんでいるわよ」

 井上「僕も30代で家を建てたよ。上の子どもは今、都内の私立大学に通っているけれど、少しは仕送りもできている。ただ、下の子どもには近くの公立大学に入ってくれないかと頼んでいるんだけれどね」

 私「すごいですね、イメージしていた以上に生活に余裕があって、夢があります!」

 女性活躍課長「もう1つ、公務員は職場結婚もそれなりにあるから、職場結婚すると給料も2人分になるの。寿退職(ことぶきたいしょく)も求められないから、職場結婚すれば生活に大きな余裕が出るわよ。もちろん給料のために結婚するわけじゃないけれどね(笑)」

 私「そうなればラッキー、みたいな」

 井上「そうだね。職場結婚でないと生活できないわけじゃないから、あまり深く考える必要はないと思うよ」

 私「ありがとうございます。すごく参考になりました」

 こうして、今日の体験も終わりを迎えた。

 女性活躍課長「じゃあ、そろそろ時間になったみたいね。今日は良い体験になったかしら?」

 私「すごく良い体験になりました。また、いろいろ親切に教えていただき、ありがとうございました」

 女性活躍課長「じゃあ、来年は本当に待ってるからね、勉強頑張って絶対に合格するのよ!」

 井上「明日は最終日だから、明日も頑張りましょう。今日はお疲れ様」

 私「勉強頑張ります。今日はありがとうございました、失礼します」

 これで3日目のインターンシップは終了した。明日はいよいよ最終日。少し寂しい気持ちもあるが、どんな仕事を体験できるのか、ワクワクしてきた。明日も頑張ろう。

 →次回の話を読みたい方は、こちら「観光振興のための新商品の開発現場で、衝撃を受ける…」

 →前回の話に戻りたい方は、こちら「女性の公務員は働きやすい?」

 →目次を見たい方は、こちら

共有: