公務員試験に関して、学生からの質問が多い項目を掲載します。今後、講義の中で多く出された質問を追加し、内容を充実していくます(個人的経験や私見も入っていますのでご了承ください)。

Q 試験勉強はいつごろから始めれば良いですか?
A 大学3年生の夏休み頃からが良いと言われています。しかし、早いほど良いというわけでもありませんし、4年生から始めても遅いというわけでもありません。早ければ時間の余裕はありますが、途中で息切れしてしまう可能性もあります。また、遅くても勉強する部分を絞って集中すれば、間に合うこともあります。これまでの経験から自分のタイプを見極め、早めが良いか遅めでも大丈夫か考えて、始める時期を決めましょう(関連ページはここをクリック)。

Q 独学でも大丈夫でしょうか?予備校に行った方が良いですか?
A 市販されている教材も充実しているので、独学でも問題ありません。独学の場合、費用は抑えられますが、自分でペース配分しなければなりません。また、疑問点は自分で調べて解決する必要があります。予備校の場合、費用はかかりますが、講義のプログラムがペースになります。また、疑問点にも個別に対応してくれる場合があります。同じ志を持った仲間は予備校だけでなく大学にもいますし、面接や論文などの対策も、大学によってサポート体制がありますので大きな違いはないと思います。
なお、大学では試験科目・分野ごとに予備校と同じ内容の公務員試験対策講座を開設していることがあります。有料ですが予備校よりも安い場合が多いので、苦手科目や頻出科目を受講して、あとは独学で済ませることも1つの方法です。

Q 1日何時間くらい勉強すればよいでしょうか?
A 準備期間や予備校に通うかどうかなどで違いはありますが、1週間あたり35~49時間ぐらいが多いようです。1日あたりでは5~7時間となりますが、授業やサークル活動、アルバイトなどに応じて勉強時間を調整すれば良いと思います。ただし、勉強は量(時間)よりも質(試験で何点取れるか)が大切なので、あくまでも目安と考えてください(関連ページはここをクリック)。

Q ボランティア活動や留学などは、採用に有利でしょうか?
A これらの経験をどのように仕事に活かせるかだと思います。面接などでしっかりとアピールできるような内容でなければなりません。逆に言えば、仕事に活かせる経験であればボランティア活動や留学でなくても良い、ということです。

Q TOEICなど英語力をアピールすると良いでしょうか?
A 機関や仕事の内容によって英語力が必要な場合があります。あるいは、採用する側が英語力のある職員を必要としている場合もあります(国際交流に力を入れたい、英語の話せる職員が少ないなどの理由から)。ただし、それ以外の場合は大きなメリットにはならないでしょう。特に必要性がないようであれば、英語よりも他の分野に力を入れた方が良いでしょう。

Q インターンシップには参加した方が良いでしょうか?
A インターンシップが採用に有利というわけではありませんが、仕事のイメージをつかみたい場合には参加した方が良いでしょう。
なお、インターンシップではありませんが、市役所や公共施設(図書館・体育館など)は多くの市民が訪れるので、気軽に入って職員の仕事ぶりなどを見ることもできます(入場料や使用料がかかる施設もあります。また、学校や保育園などはセキュリティの関係で玄関で確認して保護者しか入れない場合もあります)。

Q 大学1年生、2年生のうちにやっておくべきことはありますか?
A 早いうちから公務員を志望している学生は多く、早めに対応したいと思う気持ちはよく分かります。しかし、本格的な勉強は早すぎても息切れしてしまう可能性があります。
ただし、大学受験で勉強した科目が公務員試験にも出る場合があります(教養試験の人文科学や自然科学など)。こうした科目は大学受験を終えると勉強する機会がなくなる可能性がありますので、忘れないように少し復習しておくと、後で生きてくると思います。

Q 公務員試験の合格ラインはどのくらいですか?
A 試験によって多少異なりますが、一般的には6~7割と言われています。逆に言えば3~4割は間違えても合格します。なので、得意科目や頻出科目で得点を稼ぎ、苦手科目などは思い切って捨てるなどの戦略を立てると良いでしょう(捨てると言っても、選択問題の場合は何かを選ぶことは当然ですが⋯

Q コネ(縁故)がないと入れませんか?
A 昔はそうした噂も聞きましたが、今はないと断言できます。1次試験の点数は正確に合否に反映されます。また、2次試験もいくつもの段階を経て選抜される傾向が強まっています。コネがある人もない人もいるでしょうが、結果は試験の成績次第です。

Q 職員に直接話を聞くチャンスはありますか?
A インターンシップではあるかもしれません。また、他にも方法はあります。例えば、シンポジウムやセミナーなどで職員が講師などとして出演していた場合は、終了後に質問する時間があるかもしれません。「また今度聞かせてください」と言って名刺などをもらい、改めて会ってもらえる可能性もあります。ただし、忙しかったり、立場上難しいこともありますので、断られても気を悪くしないでください。
 市役所などに行くことは誰でもできますから、話を聞けなくても職場を見て雰囲気をつかむことはできます。

Q 採用試験の点数や順位にこだわる必要はないですか?
A 職種によって「エリートコース」のような経路のある場合があり、最初は点数や順位の高い職員が配属されることがあります。将来を期待されているとも言えますが、入ってからしっかり仕事をすることの方が大切です。入ってからの仕事ぶりは、点数や順位は関係ありません。

Q 公務員への転職は難しいですか?
A 新卒の方が有利ということはありません。同じ試験を受けるので、公平です。ただし、面接では職歴を聞かれることもあります。その際は、前向きな転職であることを伝える必要があります(私の友人では「家庭の事情(長男として家を継ぐ)」もいました。後から聞いたので、面接では言わなかったと推測してます)。

Q 就職浪人は不利ですか?
A あくまで試験の結果なので、不利にはなりません。ただ、何年も不合格が続く場合は、試験に向いていないのかもしれません。

Q 転勤したくないのですが、しなくても大丈夫ですか?
A 国家公務員は転勤が普通にある職業(一部例外あり)なので、転勤したくないのなら選ばない方が賢明です。一方、地方公務員でも都道府県の場合は出先機関への異動で転勤(都道府県内が多い。通勤時間が長くても良いなら転勤不要の場合もある)が必要になる場合があります。市町村の場合はかなり少ないです。家庭の事情(子育てや教育・介護)でどうしても転勤できない場合は相談してくれるかもしれません。

Q よくメディアで叩かれていますが、公務員の評判は良くないのですか?
A 確かに公務員の事件や不祥事などは大きく取り上げられます。しかし、そうした公務員は批判されて当然で、擁護の余地はありません。また、住民から感謝されることも多くあります。決して評判が良くないことはありません。

Q 捨て科目があると合格できるか心配です。
A 公務員試験は出題範囲が広い一方、頻度や配点にはバラツキがあります。合格することを目標とするならば、残された時間で最も高い点数をとることが基本的な戦略になります。捨て科目を作ることは後ろ向きな印象がありますが、むしろ頻度や配点の高い科目をしっかり勉強する前向きな戦略です。本当に心配な場合は、そのようなレベルに到達した段階で多くの時間があれば、他の科目をすることも良いでしょう。時間がないのに捨て科目を心配して何でもやろうとすると、逆効果になることがあります。得意科目や頻出科目もおろそかになってしまい、合格ラインに届かない可能性も出てくるからです。
 余談ですが、教養科目でも専門科目でも時間との勝負です。択一式の問題は、全ての文章に目を通すことなく、あるいは厳密な計算まですることなく誤りを見つけた段階で選択から外すこと、簡単に解けそうにない問題は最初はスルーすることなどが、時間内で回答するコツの1つです。これは、正解以外の選択肢や時間のかかる問題を素早く捨てる方法ですから、捨て科目を心配する人は試験時間内に解答が終わらない可能性もあるかもしれません。

Q 大学受験のときには教科書や参考書を使って勉強しましたが、公務員試験では過去問が優先されるのはなぜですか?
A 公務員試験の場合は選択問題が多く、体系的に学ぶ必要性がそれほどなく、問題もパターン化されていることが多いからだと思います。また「スーパー過去問シリーズ」は説明も豊富なので、参考書としても十分な内容になっています。

Q 試験対策として勉強したことが実際の仕事に使えないのなら、勉強しても意味がないのではないでしょうか?
A 実際の仕事では、公務員試験の問題に出るような場面は限られています。しかし、政策には色々な背景があり、幅広い知識を持っておくことは役に立ちます。また、数的推理などの能力も正確で効率的な事務処理に関係していると思います。仕事でこうした問題を解く機会はないとしても、問題を解くことを通じて得た知識や能力が何らかの形で仕事に生きてくることは間違いないと思います。
 もちろん、実際の仕事で法律や経済の知識を使う場合もあります。ただし、その場合は公務員試験で得た知識だけでは役にたちません。法律の条文や判例、予算や税制などを詳しく把握する必要があります。そのばあいはあ、従事する仕事によって必要な知識が違ってくるので、必要になってから取得すれば良いわけです。もちろん、その場合も公務員試験での勉強は基礎知識となります。

Q 専門試験がない方が勉強の負担が少なくなって良いと思いますが、どうでしょうか?
A 確かに出題範囲が狭くなりますが、それは全ての受験生に同じ条件です。その分、倍率が高くなって、激しい競争になる可能性も高いと考えた方が良いでしょう。

Q 地方公務員の場合、地元住民の方が有利でしょうか?
A 例えば、面接で志望動機を答える時に「生まれ育ってきた地域をより良くしたい」と言えば分かりやすいと言えるでしょう。しかし、地元住民というだけで有利になるとは思えません。志望動機でも、地元住民に負けない意欲を伝えられれば良いのです。基本的に重要なのは「その人が地方行政にどのくらい貢献できるか」です。

Q 数的推理や判断推理が苦手なのですが、合格は難しいでしょうか?
A これらの科目は配点が高いので得意であった方が良いことは確かです。ですが、これらの科目もさまざまなパターンがあります。苦手なパターンとそうでもないパターンを区分し、後者の正答率を上げる練習などで乗り切れるかもしれません。また、すべてのパターンが苦手な場合は、他の科目を確実に正解することで道が開けるかもしれません。数的推理や判断推理が苦手であっても、対処方法はあると思います。