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 いよいよ、準備の最終段階に入っていきます。細かいスケジュール作りです。第3回で紹介した合格プランシート(リンク)は1年前後の長いスケジュールとして作成しますが、これに基づいて毎日すべきことを決めていくのが準備の最後に必要なスケジュールとなります。そこで、以下では細かいスケジュールを立てるための方法について説明しましょう。

 まず、細かいスケジュールを立てるための基本的な考え方を述べます。何よりも重要なのは、無理をしないことです。「公務員試験に合格したい」という願望が意外な落とし穴を作ってしまいます。つまり、スケジュールにも願望が入って「こういう進め方で合格したい」という気持ちが表れてしまうのです。

 そこで、細かいスケジュールはある程度余裕をもって、できるだけ空白を入れておいた方が良いでしょう。こうした空白のことを「バッファ」と呼び、仕事の現場でも重視されています。たとえば、ある日の空き時間が4時間あったとしましょう。その場合、勉強の予定は3時間だけ入れておき、残りの1時間をバッファとして空白にしておくのです。スケジュールとして勉強するべきノルマを早く達成すれば、ご褒美にゲームをしても楽しいでしょうし(それが勉強のモチベーションにもなります)、スケジュールを先取りして勉強を進めることもできるのです。いずれにしても、その方が気持ちに余裕が生まれて良いと思います。

 では、細かいスケジュールを立てていきましょう。スケジュールを立てる基本的な単位として私がベストだと考えるのは、「3-1-1の単位」です。つまり、3か月→1か月→1週間という3つの期間を個々の単位として、スケジュールを少しずつ細かくしていくのです。これは私が長年の試行錯誤(失敗の連続)を経て、ようやくたどりついた結論です。細かすぎることも大ざっぱすぎることもなく、しかもバッファ(余裕)を入れることができるので、無理なく確実に進めることができます

 まず、3か月のスケジュールを作りましょう。これは、合格プランシートの「前期・春学期」や「夏休み」などがだいたい3か月前後になるので、その期間内に「どの科目をどの段階まで進めるか」といったことをイメージするものです(詳しくは電子書籍をご覧ください(リンク)。公務員試験は科目の幅が非常に広いので、3か月の目標には複数の科目を設定することになります。

 次に、1か月のスケジュールを作ります。月末(25日くらい)に次の月のスケジュールを作る形になります。大きな行事や連休等がない場合は3か月の目標を均等に3分の1ずつ割り当てても良いでしょうし、スタートダッシュをして後に余裕を持っておきたい場合は前半を多めにしても良いと思います。また、連休や大きな行事などがあればその月を多め、あるいは少なめにするという形にもできます。科目の割り当てについても、1つ1つの科目を均等に分けたり、先に済ませたい科目があれば早い段階で多く割り当てたりすることもできます。

 最後に、1週間のスケジュールです。1週間という単位は、私たちの生活習慣と密接なかかわりがあります。アルバイトや部活・サークル活動、遊びなど勉強以外のスケジュールもほぼ1週間単位で決まっていると思いますので、一定のパターンでスケジュールを立てられますし、それが習慣を定着させることにもなります。やはり、勉強に充てられる時間からバッファを差し引いて、残った時間にできることを具体的にリストアップしましょう。

 なお、「1日のスケジュールがあった方が良いのでは?」と疑問に思う人もいると思います。私は、いらないと思います。なぜならば、体調が悪かったり寝不足だったりして、その日のスケジュールが大きく狂ってしまうことがあるからです。万が一スケジュールが狂った時にリカバリーできないと落ち込んでしまい、その後のスケジュールにも支障が出ることになりかねません。1日単位だとリカバリーの余裕がなくなってしまうのです。1週間に10時間のバッファがあれば、スケジュールが狂った場合でもバッファを使って翌日以降にリカバリーできるので、安心です。こうしたことから、私は1日のスケジュールは不要で、1週間単位で十分だと思っています。

 このように、合格へのスケジュール作りは「3-1-1」を基本に、バッファを持って余裕のあるスケジュールとすることを勧めます。

 今回説明したことのボリュームの3倍以上詳しい説明が、電子書籍に書かれています。具体的なスケジュールの例もそれぞれ紹介しているので、ぜひご覧ください。

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