小論文では、どんな内容にするかを気にしがちですが、実はそれよりも重要なことがあります。それは、ズバリ次の3つです。
①正しい言葉使いと形式
②シンプルな構造
③バランス感覚
①正しい言葉使いと形式
「①なんて当たり前じゃないか」なんて思っている方、これが意外にできないのです。これまで、原稿用紙を使って作文を書く機会といえば、読書感想文くらいでしょう。それも、小学校や中学校くらいまでです。そこから先は、ラインやTwitterで文章を打つことはあっても、正しい言葉使いを意識することはあまりないと思います。むしろ、流行語や短縮形の言葉、話し言葉を積極的に使います(それが普通です)。
しかし、正しい言葉使いを意識しなくなると、いざ小論文の時についつい普段の言葉が出てしまいます。また、小論文の形式を使うことを忘れてしまいます。
言葉や形式の間違いは、内容以前の問題です。いくら内容が良くても、減点の対象となります。もったいない「凡ミス」を、まずしないようにしましょう。
具体的には、
A漢字を間違えない
B略語は一般的でないもの以外は使用しない(バイト、就活など)
C話し言葉は避ける(どんどん、なので、ぶっちゃけなど)
D段落のはじめは1文字下げる
E「ですます調」と「である調」を混在させない
A~Cは正しい言葉使いの注意点で、DとEが形式の注意点です。まずこの点に気をつけてください。
②シンプルな構造
次に②です。小論文の文字数は意外と少ないです。一般的に1000字前後かと思います。ふだんの生活で1000字書くことはほとんどないので、たくさん書かなければいけない(あるいは、たくさん書きたいことが書ける)ように思えます。
ですが、例えば書きたいことが3つあるとした場合、1つにつき333字(1000÷3=333)とはなりません。おおよそ200字強が妥当でしょう。「それだと600字にしかならないじゃないか」と思うかもしれません。しかし、小論文には構成があります。それは、序論・本論・結論という3部構成です。
序論は、「私は今からこういうことを言おうとしています」という宣言です。読む人にとって序論から、「この人はこういうことを言いたいのだな。どれどれ、読んでみるとしよう」という気持ちになります。読む人に心の準備を与え、関心を高める効果があります。
本論は、「なぜ私がこういうことを言いたいのか、分かってください」という説明の部分です。読む人にとっては「なるほど、言いたいことは良く分かりました」という気持ち(あるいは「うーん、なんか納得できないなあ」という気持ち)になります。
そして、結論は「ということで結局、私はこういうことを言いたいのでした」という締めくくりになります。
小論文で大切なのは、「何が言いたいのか」「納得できる説明をしているか」です。前者は、序論と結論でしつこく繰り返すことで伝わります(もちろん序論と結論が同じでなければなりません)。後者は、本論でしっかり説明することになります。小論文のシンプルな構成とは、序論・本論・結論の3部構成にすることです。
こうした構成にするためには、本論で使える文字数は全体の6~7割といったところでしょう。だから、1000文字の小論文で書きたいことが3つあった場合、本論で600~700字で書く必要があり、1つ当たりで200字強しか使えないことになります。
「実はあまり言いたいことが言えない」というのが小論文です。だから、逆に言えば「本当に言いたいことに絞り込み、丁寧に説明する」ことが重要になります。
③バランス感覚
最後に③です。これは公務員試験の特徴的な部分かもしれません。
小論文は、自分の言いたいことを読む人に理解してもらうために書くものです。世の中にはさまざまな課題があります。それに対して、私たちが持つ意見もいろいろです。小論文でも、意見の違いがありそうなテーマも出題されます。
その時、極端な意見だけを述べることは避けた方が良いと思います。もちろん自分の考えを述べることは重要ですが、公務員試験ですから何よりも合格答案にしなければなりません。公務員は税金など全国民・企業の負担で公共サービスを提供する仕事で、極端な意見が実行されれば一部の国民・企業を切り捨てる可能性を持っています。
公務員には「全体の奉仕者」であることを求められます。いろいろな立場、意見に配慮して、バランス感覚を持って政策を企画立案・実行していく仕事です。バランス感覚を書いた小論文を書いてしまうと、「この人は公務員にふさわしくない」という印象を与えてしまいますので、自分の意見を明確にしつつ、それに反対の考えに対しても一定の配慮を見せるよう心掛けてください。
以上、小論文対策として内容のことを考える前に心がけてほしいことを述べてみました。
こうした点は、大学のレポートにも共通しています(③は公務員試験特有なのでレポートではそこまで重要ではありませんが、いろいろな意見があることを踏まえて自分の意見を述べることはレポートも重要です)。大学のレポートを「単位を取るため」だけでなく「小論文対策の1つ」として、全力で取り組んでみてはいかがでしょうか?
その際、先生に添削してもらうことをお薦めします。先生に直接頼んで指導してもらうことで、より良いレポートが書けるようになるはずです。