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 公務員試験の最終目標は「合格点を獲得すること」ですが、それは「解けなかった問題を解けるようになること」と同じ意味です。しかし、そのための方法は苦手科目を克服するだけではありません。得意科目についても対応策はあるのです。それは、易しい問題を速く解くことです。

 易しい問題であっても、解くための時間が短くなればなるほど難しく感じます。逆に、難しい問題でも解くための時間が十分にあれば、正解できる可能性が高くなります。毎日の勉強では、問題を解く時間をあまり意識することなく「解ければ良い」と思いがちですが、必ずしもそうではありません。

 とりわけ、得意科目を速く解くことができれば他の科目に充てられる時間が増えるので、合計点を効果的に上げることができます。不得意な科目は速く解く以前に解けるようになる必要がありますが、不得意な科目を解けるようになる練習ととともに、得意な科目を速くをく練習を並行して行うことが、不得意な科目で得点を取るためにも有効なのです。

 そこで、毎日の過去問で速く解く練習として2つの方法を紹介します。まず、タイマーを使うことです。問題に取りかかる前に「これは〇〇分で解こう」と時間の目標を立てておくのです。こうして、得意科目を中心に、試験本番で直面する時間の制約を毎日の過去問にも取り入れておくと良いでしょう。
 次に、最短経路で解く工夫をすることです。公務員試験の問題は、いろいろな解き方ができます。参考書や講義でもいろいろな解き方が紹介されますし、学んだ解き方以外でも正解を導く方法はあります。特に数的推理や判断推理の場合は、公式や原理を知っていればスマートに解ける方法がありますし、図形の問題などでは「ひらめき」で正解が急に見える場合があります。さらに、面倒な計算や複雑な方法を使わずとも、実は「秘伝の方法」といったようなものであっさり解けてしまうような問題もあるのです。そうした解き方ができれば、試験本番で大きな力になります。

 参考書や講義で紹介されている解き方は、どれも有益です。そのなかから、最短で解ける方法や自分に合っている方法を選んだり、載っていない解き方を考えてみたりするのも良いでしょう。このように毎日の過去問で最短経路を考える習慣が、試験本番にも活かされます。過去問を解いて正解すれば良いとするのではなく、最短経路や自分に合った方法がどれかをじっくりと見きわめながら解いていくと良いでしょう。最初のうちは時間をかけても構いません。むしろ、ここで時間をかけることが後で大きな時間の節約になります。
 このように、時間の制約を意識するにはタイマーを使う方法と最短経路で解く方法の2つがあります。特に、直前期はこの2つを組み合わせて、最短経路を考える時間にも制限をかけて問題にかけられる合計の時間を設定しておいた方が良いでしょう。例えば、5分で解くことにした場合、最初の2分を上限に最短経路が見つかるかどうかを考え、残りの3分でスピーディに解く、という方法です。つまり、最短経路が2分で見つからなかった場合は最短経路を断念し、手間をかけて正解を導く方針に切り替えて解きましょう。あるいは、2分かけなくても「この問題を最短経路で解く方法はなさそうだ」と判断できれば、その時点で最短経路を断念して手間をかけて解く方法に切り替えることも有効です。どちらも時間の制約の中で時間をかけずに解く方法として有益なので、自分のベストな組み合わせを探してみてください(科目ごと、問題ごとに時間を設定しても構いません)。

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