「いつごろから勉強を始めれば良いのでしょうか?」という質問はとても多いです。それも、大きく2つのパターンに分かれます。まず、大学に入学したばかりの1年生が私の講義を受講する時に聞かれます。大学生活への期待を胸に、将来のことも早めに考えたいということなのでしょう。次に、3年生の夏ごろに「そろそろ始めないとまずいのでは?」「もう遅いと言われないか心配」という学生です。

 一般的には、3年生の夏ごろから始めれば良いとされています。したがって、試験本番の1年前くらいでしょうか。夏休みの時間を十分に使って、ロケットスタートを切っておきたいものです。

 ※3年生の秋以降では間に合わない、ということではありません。市役所などは試験も遅いですし、専門科目のない試験などもあります。もちろん、猛勉強で間に合わせる人もいるでしょう。決してあきらめる必要はないと思います。ちなみに、私は4年生のゴールデンウィーク明けから勉強を始め、教養科目のみの市役所の試験に合格しました。「これが駄目なら行くところがない」という背水の陣で猛勉強したのが、結果的に良かったと思います。

 なお、試験科目が多いので、すべての科目を一斉に始めるわけではありません。また試験も一次試験から二次試験、三次試験まであることもあります。一次試験から内定を得るまで数ヶ月を要しますので、勉強の順序にも次のようなセオリーがあります。

・一般教養
 ①判断推理・数的推理
  →すべての試験において配点が高く、しかも慣れが必要なので、3年生の夏休みに重点的に行う。
 ②文章理解・資料解釈・人文科学・自然科学等
  →試験ごとの配点に応じて重点を変える。また、大学受験と重なる部分もあるので、大学受験の時に得意科目としていた分野に重点を置いても良い。時期は、夏休み終盤から夏休み明けくらい。

・専門科目(法律系
 ①憲法・民法・行政法
  →分量が多く、配点も高い。他の試験科目にも関連するので、早めに始める。夏休み中が無難。
 ②商法・労働法
  →試験ごとの配点に応じて重点を変える。秋から冬休みにかけて始める。

・専門科目(経済系)
 ①経済学(ミクロ・マクロ)
  →分量が多く、配点も高め。慣れが大切で、他の試験科目にも関連するので、早めに始める。夏休み中が無難。
 ②財政学・経済政策等
  →試験ごとの配点に応じて重点を変える。秋から冬休みにかけて始める。

・専門科目(その他)
 ①政治学・行政学・社会学・会計学・経営学等
  →試験ごとの配点に応じて重点を変える(場合によっては捨てる)。冬休み頃から始める。

・時事問題
 「時事問題」という試験分野はなく、あらゆる分野の試験科目で最新情報(政策の動向、最新データ、法律の改正等)をカバーするものです。直前期にまとめた方が最新情報を効率的に取得できます。「速攻の時事」(実務教育出版)が直前期に刊行されるので、参考になります。


・論文・グループワーク・面接対策
 論文対策としては、大学の講義でレポートを課されることがあるので、特別な対策以前にこれを最大限活用してほしいと思います。論文対策は練習が必要です。講義で課されるレポートは、公務員をめざす方には単位を取得する(単位を取れる程度に可能な限り省力化して済ませる)だけでなく、試験本番を想定した練習の機会として力を注いでほしいです。

「練習は本番のように、本番は練習のように」という言葉がありますが、大学で課されるレポートを本番だと思って一生懸命取り組むことで、いざ試験のときには練習のように自分の実力を発揮することができると思います。

 グループワークも、大学のゼミ活動が活きます。ゼミ活動はメンバーが固定されているので、つい楽しく過ごしてしまいがちですが、本番を意識して緊張感をもって臨んでほしいと思います。先生や仲間の協力を得て、本番を想定した練習のようにしてもらっても良いでしょう。また、可能であれば他流試合(他のゼミや他の大学の学生、社会人等とのディスカッション)も積極的に行ってください。政策提言のコンテストにエントリーしたり、先生にそうした機会を提供してもらえるよう頼んでみると、対応してくれるかもしれません。

 面接対策としては、学内の就職支援コーナーや予備校などで、本番さながらの練習を勧めます。いろいろなタイプの面接官(いわゆる「圧迫面接」も、ないとは言い切れません)ので、経験を重ねておくと安心できます。友人同士で練習したり、家族の協力を得たりするのも一法かもしれません。


 最近では、ペーパーテストよりも面接を重視する傾向もあります。ですが、受験生は相変わらずペーパーテストの対策に追われてしまい面接対策が疎かになりがちなので、注意してください。