専門択一試験は、主に次のような分野と科目で構成されています。
行政系…政治学・行政学・国際関係・社会学
法律系…憲法・行政法・民法・刑法・労働法
経済系…ミクロ経済学・マクロ経済学・財政学
商学系…会計学・経営学
その他…心理学・教育学
さらに細かい科目もありますが、ここでは実務教育出版『新スーパー過去問ゼミシリーズ5』として販売されている参考書の科目のみ挙げました。これでも、全部マスターすることは大変な負担量です。
なお、職種や実施機関・試験区分によっては専門択一試験を実施しない場合もありますので、注意してください。
問題数は全部で30〜40題で、試験によって少し幅があります。また、回答する問題を選択できる方式は、教養択一試験よりも多くの職種・実施機関・試験区分で実施されています。
問題のパターンは、教養択一試験と同じように5つの選択肢から1つを選ぶ形です。したがって、マークシートに①〜⑤を選んで回答します。ただし、問題によっては「正しいものを選びなさい」「誤っているものを選びなさい」「正しいものの組み合わせを選びなさい」「空欄に入らない用語の組み合わせを選びなさい」など、いろいろなパターンがあります(後に挙げたパターンほど難しくなります)。問題文を最後までよく読み、ミスがないように気をつけましょう。
ここで、一般的な戦略を紹介します(基本的には教養択一試験と同じですが、少し違う部分もあります)。
①合格ラインの6〜7割正解をめざす
公務員試験の多くは6割〜7割の正解で合格できる、と言われています。逆に言えば、3割は不正解でも大丈夫です。出題範囲がとても広いので、すべての科目を同じように勉強することは好ましくありません。得点のできる得意科目、よく出題される頻出科目に的を絞って、少ない負担で効率的に合格点が取れるように作戦を練りましょう。
②基礎科目はできるだけ得点源にする
基礎科目とは、法律系では憲法経済系ではミクロ経済学マクロ経済学です。これらは出題数が比較的多いことに加え、他の科目、例えば法律系では民法や行政法経済系では財政学などの勉強にも使われます。そこで基礎科目をできるだけ得点源にすることで、より効率よく得点につなげることができます。
なお、回答する問題を選択できる方式の場合は、苦手科目を回避することができます。それは確かにありがたいのですが、全員が同じ条件です。
③非基礎科目・非頻出科目は余力と得意分野でメリハリをつける
これらの科目は、勉強しても得点につながるとは限らないので、得意分野の場合に取り組むと良いでしょう。つまり、戦略的に勉強しない科目を選び、「捨て科目」にするということです。もちろん択一式なので試験本番では必ず解答(マーク)しますが、考えてもわからないものに時間をかけても意味はありません。その時間を得点につながる科目に使うのが賢明でしょう。
また、早めに勉強を始めた人は、多くの科目を勉強する余裕があるので、広く勉強しておいても良いでしょう。教養試験で苦手分野がある人も、専門試験で高得点を取れればカバーすることができます。
④得点できる問題から取りかかる
公務員試験は2時間程度で多くの問題を解かなければなりません。また問題も、易しいものから難しいものまで幅広く出題されます。例えば、試験本番で1問目に難しい問題が出るとつい時間をかけて残りの問題が解く時間がなくなり、慌ててしまって易しい問題も落としてしまうということが起こりえます。問題の中から易しいものを見抜き、それを先に済ませることが重要です。普段の勉強でもそういった練習をしておくことを勧めます。
⑤センター試験のテクニックを応用する
専門択一試験は5つの中から正解を選ぶ方式なので、センター試験とよく似ています。大学受験の時に聞いたことがあるかもしれませんが、センター試験のテクニックと言われているものがいくつかあります。ここでは詳しく紹介しませんが、「迷った時には◯番をマークする」「極端な表現があると誤りであることが多い」などです。このようなセンター試験のテクニックは、専門択一試験にも多く当てはまります。センター試験の本を読み返してみたり、大学受験の頃を思い出して専門択一試験にも生かしてほしいと思います。
また、「大学の所属学部や受講講義は公務員試験に関係するか」ということも気になります。例えば経済学部の学生は経済系科目が得意になるか、憲法の授業を受講すれば試験対策になるでしょうか。
私の考えは、「学部や講義は試験対策とは別」です。確かに経済学部でミクロ経済学を受講した場合は、ミクロ経済学の試験科目で「これ授業で聞いたことがある」「確か先生がこう言ってた」など、少し慣れている面は出てくるでしょう。しかし、それだけで公務員試験の問題は解けませんし、先生の講義も公務員試験のためにしているわけではありません。所属の学部や受講した科目に関係していても、しっかりと対策をする必要があります。
ただし、独学の学生で問題の解説がわからないような場合は、ゼミや学部の先生などに聞いてみると丁寧に教えてもらえることがあります。問題の解き方だけでなく、その背景にある理論の丁寧な説明などまで、踏み込んで教えてくれると思います。
全体としては、学部や受講科目で有利不利はありません。公務員試験の勉強をしっかりすれば合格することができます。