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 観光振興課の企画会議に参加し、これで各課での体験が終わった。税務課、財政課、女性活躍課、観光振興課の4つを体験した。偶然だと思うが、デスクで仕事をするよりも、外に出かけることの方が多かったような気がする。また、市民や企業とのコミユニケーションの機会もたくさんあった。体験前のイメージは、デスクでひたすらパソコンと向き合っているのかと思っていたけれども、全然違っていた。

 ただ、その分、公務員の仕事にはいろいろなフィールドがあって、とても幅広いことを知った。公務員試験の勉強をしていると、科目が多いので大変だと思ったり、勉強がどう仕事に結びついているのか分からなかったりしたが、どんな仕事に就いても十分なパフォーマンスを発揮できる基礎力を持っているかどうかを調べるものなのかもしれない。そう思うと、これからの勉強にも身が入りそうだ。

 そんなことを考えながら、インターンシップのプログラムも最後を迎えた。今回参加した学生と市長との懇談会だ。田中市長はインターンシップの最初に講話をしていただいた。「自分が市長になったつもりで」「全体の視点を持って」という話が中心だったが、確かに仕事をしているとつい忘れてしまいがちなことにハッと気づいた。

 公務員は仕事の幅が広く、しかも部署によって分業体制がしっかりしている。そのおかげで税金や予算、女性活躍や観光振興などを専門的に責任を持って分担できるのは大きなメリットだ。しかし、仕事を続けているうちに視野が狭くなってしまい、自分が所属する部署、担当する仕事しか目に入らなくなる可能性もあるのかもしれない。

 もちろん自分が仕事で受け持つのは限られているので、その部分でしっかり責任を果たせば良い、という考え方もある。しかし、それが知らず知らずのうちに、他の部署や他の仕事にプラスあるいはマイナスの影響を与えることもある。観光振興で補助金を使って素晴らしい商品を開発するのは良いのだろうが、それで敦賀市使った財源は他の部署で使えないわけだから、女性活躍が必要とする財源が犠牲になる可能性もあるのだ。

 市長は全体を見るべき立場だが、1人しかいないからそんなに細かいことまで考えることはできない。そして、何よりも現場を預かる職員が考える題材にも触れている。だからこそ、「市長になったつもりで」「全体の視点を持って」というメッセージをいただいたのだろう、と今回のインターンシップの体験を通じて実感することができた。

 そんなことを考えているうちに、田中市長が見えた。いろいろな業務が入っているなかで、少し時間を割いて来られているようだ。

 市長「みなさん、短い期間でしたが、インターンシップに来ていただき、ありがとうございました。良い経験ができましたか?」

 参加した学生が次々と答える。

 学生A「環境と福祉の部署で、地球温暖化対策や高齢化といった大きな課題でも、市民一人ひとりの行動や支え合いといった小さな行動の積み重ねが大切だと学びました」

 学生B「教育委員会と健康増進の部署を体験しました。学校は先生の仕事がとても大変だなと思っていたのですが、それを支える教育委員会がないと学校が成り立たないことが分かりました。」

 学生C「下水道と道路の部署を経験しました。技術系の仕事で、普段は当たり前のように水を使って道を歩いていますが、職員の皆さんが常に維持管理をしてくれているからできることが分かりしました」

 私も含めて、皆が一言ずつ感想を述べていった。それぞれいろいろな部署で良い体験ができたようだ。それらを熱心に聞いてから、市長が話す。

 田中市長「みなさん、本当に良い体験ができましたね。ウチの職員は素晴らしい方々ばかりです。だから私も大いに信頼して、安心して自分の仕事ができます。みなさんも今回の体験で学んだことをぜひ、これからの人生に役立ててください。もちろんウチの職員になって欲しいですけれども、そうならなかったとしても、日頃の生活のなかでも公務員が地域を支えていることを認識してもらえたことが良かったと思います。これからの皆さんのますますの活躍を期待しています!」

 市長の挨拶の言葉で、インターンシップのプログラムがすべて終わった。短い期間だったが、内容が濃くて本当に良い経験ができたと思う。体験でお世話になった課長さんからも「来年待ってるよ」と言ってもらって、「ここで仕事をしたい!」という気持ちが固まった。明日から再び学生生活に戻るが、目標が明確になったので勉強にも身が入りそうだ。

 最後に、今回の体験を通じてお世話になった井上さんに御礼の挨拶をした。

 私「短い期間でしたが、とてもお世話になりました。本当にありがとうございました。これからますます勉強を頑張って、ぜひ来年はここで仕事をしたいと思います!」

 井上「良い経験になって良かったね。実は、僕も今回のインターンシップがとても良かったと思っているんだ」

 私「えっ、どうしてですか?井上さんの仕事をする時間が減ってしまって、ご負担をかけたんじゃないかって、とても気になっていたんです。それが良い経験だなんて…びっくりしました」

 井上「僕も公務員になって30年だからね。もちろん仕事は頑張ってきたつもりだけれど、やっぱり毎日のことだから刺激は少なくなってきてしまうんだ。何となく仕事をこなしていく、って感覚になってきているんだよね。でも、今回のインターンシップで君がキラキラして体験に参加しているのを見て、やっぱり公務員の仕事は素晴らしいと改めて感じたんだ。それに、若い人が頑張っているのに自分が先輩だからといってノンビリしているわけにはいかないからね。まだまだ若い者には負けないぞ、って思ったよ」

 私「そんなことを思っていただいて、光栄です。まだまだ未熟なので、もっと教えてほしいことばかりです」

 井上「そうだね。確かに公務員は年功序列でベテランが上司になって若手に指示をするけれど、これからは若手もどんどん前に出る時代だと思うよ。もっと経験を重ねて、先輩を追い越してほしい。そのためには、僕らもただエラそうにしているのではなく、負けないように頑張っていかないとね」

 私「ありがとうございます。そんなことまで言っていただいて、何だか嬉しいです。絶対、来年ここに来ます!」

 井上「そうだね、僕も待っているよ。とにかく合格のために勉強を頑張ってね」

 私「はい、頑張ります。合格したら必ず報告しますので、今度は先輩としていろいろ教えてください。よろしくお願いします」

 井上「良い報告を待ってるよ。それまでに僕も教えられるように頑張らないとね」

 私「ありがとうございました。これからも、よろしくお願いします。失礼します」

 こうして、インターンシップ体験をすべて終えた。短い期間だったが、密度か濃くて貴重な経験ができた。心地良い疲れが残った。ちょっと買い物に寄って、自分へのご褒美にちょっとだけ豪華なケーキを買おう。そして、経験を自分なりに振り返って、今回の体験で出会った方々との約束を胸に、明日からの勉強につなげていこう(終わり)。

 ご愛読、ありがとうございました。

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